【エルサレム、ワシントン時事】イランは1日、弾道ミサイル約180発を敵対するイスラエルに向けて発射した。大半が迎撃され、イスラエル国内で死傷者の情報はない。イラン精鋭軍事組織「革命防衛隊」は声明で、イスラエルが報復すれば反撃すると警告。両国の本格的な軍事衝突に発展しかねず、中東情勢は緊迫の度を増した。
 イスラエルのネタニヤフ首相は1日夜の治安閣議冒頭、イランの攻撃は「失敗した」と断言。「イランは間違いを犯した。代償を払うことになる」と述べ、報復する意向を示した。
 イランの首都テヘランでは7月、同国が支援するパレスチナのイスラム組織ハマスの最高指導者ハニヤ氏が暗殺された。イスラエルの犯行とみられる。イスラエルは先月27日には、同じくイランが後ろ盾となっているレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ナスララ師を空爆で殺害。革命防衛隊は、ミサイル攻撃は一連の指導者殺害への報復だと主張した。
 バイデン米大統領は1日、記者団に対し、イランの攻撃は「阻止され、無効化されたようだ」と説明。イスラエルを「全面的に支持する」と表明し、対抗措置をイスラエルと協議する考えを示した。国防総省のライダー報道官によると、中東地域に展開する米海軍駆逐艦2隻が迎撃に参加した。
 イランは4月、イスラエルの在シリア・イラン大使館空爆で革命防衛隊司令官らが死亡したことへの報復として、イスラエルに初めてミサイルやドローンで直接攻撃を実施。その後、イスラエルがイラン領内へ反撃する応酬となった。ライダー氏は、今回イランから発射された弾道ミサイル攻撃の規模は4月の約2倍だったと説明した。 
〔写真説明〕1日、イスラエル中部テルアビブ上空を飛翔(ひしょう)するミサイル(ロイター時事)
〔写真説明〕1日、ヨルダン川西岸で、イランによる弾道ミサイル攻撃後、飛翔(ひしょう)体の残骸を調査する人々(ロイター時事)

(ニュース提供元:時事通信社)