【シリコンバレー時事】米カリフォルニア州のニューサム知事(民主党)は29日、州議会が可決した人工知能(AI)規制法案への署名を拒否した。AIによる「重大な損害」の防止を狙った法案だが、知事は大規模なAIモデルに限定した規制で、脅威への対処には十分ではないと理由を説明した。法案を巡っては、開発企業や研究者の間で厳しすぎるとの反発が上がっていた。
 知事は州上院に宛てた書簡で「大規模モデルのみに焦点を当てることは、市民に誤った安心感を与えかねない」と懸念。リスクが高い小規模モデルが出てくる可能性に目を向けるべきだと説いた。規模を尺度に、最も基本的な機能にまで厳格な基準を適用するのは「真の脅威から市民を守るのに最善の手法ではない」とも記した。
 8月に州議会を通過した法案は、「大量殺人につながる兵器開発」や「被害が甚大なサイバー攻撃」を「重大な損害」と規定。開発費1億ドル(約143億円)以上のAIモデルを規制対象としている。 
〔写真説明〕米カリフォルニア州のニューサム知事=25日、ロサンゼルス(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)