部分最適思考に支えられたケンカ交渉術の浸透力は強大(イメージ:写真AC)

部分最適のケンカ交渉術と対峙する

全体最適思考による決定・決着が継続的な最大利益を享受する方法であることは疑いようがない。それでも、人はおうおうにして短期的部分最適を目指してしまう。それは、そのほうが利益が大きいと勘違いするからかもしれない。

長期的な利益に目を向けない利己的な思考(イメージ:写真AC)

部分最適の場合、狭い空間で短期的にはよく見えても、周辺関係者や社会環境などにマイナス影響を及ぼすから継続的な最大利益にならないのだが、そこに目を向けない利己的側面もあるかもしれない。または、長期的側面では自身に関係しないとする、サラリーマン的で身勝手な任期勝ち逃げ思考もあるだろう。

サラリーマン的な任期勝ち逃げ志向(イメージ:写真AC)

しかし、どれだけ理想論を唱えても、すべての人や組織・団体が全体最適を目指すわけはなく、部分最適思考を目指してケンカ交渉術を駆使する相手は周りに現れる。言葉巧みに、理想論のようにきれいに見せてくる場合が多いだろう。その見極め方までは、前稿までに示してきた。今回は、そうと気付いた場合の対処に関して論じたい。

まず基本を述べたい。たとえ相手が部分最適を追求してきたとしても、あくまで全体最適思考を曲げないことが必要不可欠と考える。相手がケンカ交渉術を駆使してきたからといって当方も同じ様にケンカ交渉術で対峙するのは最悪の事態しか生み出さない。そう、仮に部分最適を得たとしても、リスクの総和は増加するのである。

簡単ではないが、相手が部分最適を追求してきても、全体最適思考を曲げないことが肝要(イメージ:写真AC)

あくまで全体最適思考を曲げないことは、簡単ではないかもしれない。部分最適思考に支えられたケンカ交渉術の浸透力、拡散力は半端なく強力だから、外堀が埋め尽くされる環境もあり得るだろう。その環境下では、前述した理由に加え、自身も同様に染まる方が楽であり、楽だからこそ浸透力は強く、自身の選択を正当化しやすくなる。

それでも、全体最適を追求するべきと主張させていただきたい。粘り強く、諦めない姿勢で、最後の最後まで。

交渉相手だけでなく、身内側からも抵抗勢力となる反発が生じる場合もあるだろう、いや、むしろそのケース、内部抵抗勢力の活発化が多いかもしれない。それでも抗うべきといいたい。少なくともその姿勢を揺るぎなく持ち続けてもらいたい。全体最適こそ、長い目で見れば自己であり組織の最大利益であるからだ。