ネット情報規制の問題点とネット空間の課題を考える(イメージ:写真AC)

ネット情報空間の秩序を保つための課題

ネット情報の規制は悪手であり、自由な情報空間が担保されるべきと語ってきた。情報統制を行うのは、有事を除けばタブーであることに異を唱える人は少ないだろう。それでも、部分最適思考で自身の既得権益構造を守ることを是とする人も少なくなく、そこに大義名分を付け、正当化してしまいがちだ。

これは自由への追求と部分最適の正義がせめぎ合う歴史的過渡期なのである。

世界に目を向ければ、米国でUSAID(米国際開発庁)が解体された。グローバル版「公金チューチュー」の是正とされているが、その実、日本の民主党政権時代の事業仕分けともいえる組織解体なのだ。その金の流れ、情報の統制などの実態が明るみになれば、日本への影響も半端ないだろう。

NHKや現役政治家の名も記されており、LGBT理解増進法制定やウクライナ支援に関して理解不能な進み方があったこととの関連を疑う声もあがり始めた。それなのに、日本政界は嵐の前の静けさで、オールドメディアではほぼ取り扱っていない異常さである。

それどころか、逆に「シャドウバン」と称する一部言論に対する攻撃が強まっているようにも感じる。これらの件は陰謀論的にも聞こえ、情報量としては少なく、関連のデマも多い状況であり、これ以上は憶測の域を出ないので現時点ではここまでに留め、考察は後に譲るが、今後の経緯には皆さんも注目しておいてもらいたい。

本論に戻ろう。今回は、ネット情報空間の秩序を保つために必要な一定の規範とその問題点にスポットをあてたい。一般には下記の4点ではないだろうか。

➊自由な発信であるがゆえ、真偽不明情報が多い

➋青少年に不適切な暴力や性的表現があり、犯罪の温床にもなりかねない

➌迷惑系など公序良俗に反しながら注目を浴びての収益獲得が可能

➍悪意ある事実無根の誹謗中傷を止められない

このなかで、➊に関しては前回までに示した通り、自由な発信であり双方向性であるがゆえに情報の自己浄化機能が働く。そして言いっ放しのデマも、蓄積されるストック構造で永遠に晒される構造になり、繰り返しのデマ発信が抑制される。

自由な情報空間は良識的なマジョリティーの声を拾える(イメージ:写真AC)

問題性をはらむボーカルマイノリティーの一方的な情報発信にも、良識的なサイレントマジョリティーの声がカウンターになる構造である。これは、社会構造として良識的で常識的判断ができる人の方が多数派であり、そのマジョリティーの声を拾えるからだ。

深読みをすれば、古代ギリシアで失敗し、理想的でありながら現実性がないとされていた直接民主主義が、現代になってネットという新たな全員参加型の社会インフラを土台にして模索されている壮大な社会実験にも思える。

一部の目線による真偽判定(ファクトチェック)や規制(ポジティブアクション含め)は、どれだけ公平性を原則としても、権力としての暴走を抑制する民主的監視機能がなければ健全性は担保できない。それゆえ必ず制度劣化を起こす。

フジテレビの騒動や大谷選手豪邸直撃後の出入り禁止、USAIDなど、自身に都合の悪い件を積極的に取り扱わない姿勢にも現れている。それが昨今のオールドメディアの信頼失墜の原因でもある。

あらためて断言するが、ネットの情報環境には真偽不明情報も存在するが、それは浄化機能が働き修正される。全体的には自由な発信であるがゆえに健全性が保てるのであり、➊は誤解である。現時点で完全ではなくとも、改善を加え、よりよくできるポテンシャルが高い。そしてその効果は➋の健全化にも寄与するはずだ。