2024/05/10
危機管理担当者から社員に伝えておきたいメッセージ
リスク部門から周知しガバナンスを効かせる

前項のSNSと関連するが、情報セキュリティーも、人の入れ替わりが多くなる新年度はリスクが高まる。やはり、コンプライアンス研修に組み込むなどして教育を徹底している企業は多いだろう。
現在は、新入社員でも学生時代からパソコンを使いこなしてきた人が多い。しかし当然、個人と会社では情報セキュリティーの重心が違う。また人事異動で新たに着任した社員も、業務が変われば情報資産との関わり方が変わり、以前と同じ意識でのぞめばよいとは限らない。情報セキュリティーのポリシーやルールは、この機に特に徹底したいところだ。
個人と組織のセキュリティー
次ページの表は、情報処理推進機構(IPA)が毎年発表している「情報セキュリティ10 大脅威」の2024 年版。個人の脅威と組織の脅威では一つとして同じものがないことがわかる。情報セキュリティーの重点は個人と組織でまったく違うということだ。仮にパソコンに精通している新入社員であっても、これまでと同じ意識、同じ使い方では組織としてのリスクに対応できない。
実際、組織の脅威で上位にある「サプライチェーンの弱点を悪用」「内部不正による情報漏えい」「標的型攻撃による機密情報の窃取」などは、個人の目線では想像できないだろう。新入社員にセキュリティー教育を行う際は、こうしたデータを使いながら、これまでの個人レベルのセキュリティーとの違いを比較説明するのも一つの手だ。
また、情報セキュリティーのポリシーやルールは、単に字面だけを伝えても浸透は難しい。この点は前項のSNSリスクと同じで、前提となるのは、やはり会社の一員であるという意識。「個人と組織では背負うリスクが違い、当然、行為に対する責任の重さも違う。新入社員にはそのことを真っ先に伝えるべき」と、セキュリティー管理に詳しいLogINラボ(東京都)の多田芳昭氏は話す。
オピニオンの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/02/25
-
トヨタが変えた避難所の物資物流ラストワンマイルはこうして解消した!
能登半島地震では、発災直後から国のプッシュ型による物資支援が開始された。しかし、物資が届いても、その仕分け作業や避難所への発送作業で混乱が生じ、被災者に物資が届くまで時間を要した自治体もある。いわゆる「ラストワンマイル問題」である。こうした中、最大震度7を記録した志賀町では、トヨタ自動車の支援により、避難所への物資支援体制が一気に改善された。トヨタ自動車から現場に投入された人材はわずか5人。日頃から工場などで行っている生産活動の効率化の仕組みを取り入れたことで、物資で溢れかえっていた配送拠点が一変した。
2025/02/22
-
-
現場対応を起点に従業員の自主性促すBCP
神戸から京都まで、2府1県で主要都市を結ぶ路線バスを運行する阪急バス。阪神・淡路大震災では、兵庫県芦屋市にある芦屋浜営業所で液状化が発生し、建物や車両も被害を受けた。路面状況が悪化している中、迂回しながら神戸市と西宮市を結ぶ路線を6日後の23日から再開。鉄道網が寸断し、地上輸送を担える交通機関はバスだけだった。それから30年を経て、運転手が自立した対応ができるように努めている。
2025/02/20
-
能登半島地震の対応を振り返る~機能したことは何か、課題はどこにあったのか?~
地震で崩落した山の斜面(2024年1月 穴水町)能登半島地震の発生から1年、被災した自治体では、一連の災害対応の検証作業が始まっている。今回、石川県で災害対応の中核を担った飯田重則危機管理監に、改めて発災当初の判断や組織運営の実態を振り返ってもらった。
2025/02/20
-
-
2度の大震災を乗り越えて生まれた防災文化
「ダンロップ」ブランドでタイヤ製造を手がける住友ゴム工業の本社と神戸工場は、兵庫県南部地震で経験のない揺れに襲われた。勤務中だった150人の従業員は全員無事に避難できたが、神戸工場が閉鎖に追い込まれる壊滅的な被害を受けた。30年の節目にあたる今年1月23日、同社は5年ぶりに阪神・淡路大震災の関連社内イベントを開催。次世代に経験と教訓を伝えた。
2025/02/19
-
阪神・淡路大震災30年「いま」に寄り添う <西宮市>
西宮震災記念碑公園では、犠牲者追悼之碑を前に手を合わせる人たちが続いていた。ときおり吹き付ける風と小雨の合間に青空が顔をのぞかせる寒空であっても、名前の刻まれた銘板を訪ねる人は、途切れることはなかった。
2025/02/19
-
阪神・淡路大震災30年語り継ぐ あの日
阪神・淡路大震災で、神戸市に次ぐ甚大な被害が発生した西宮市。1146人が亡くなり、6386人が負傷。6万棟以上の家屋が倒壊した。現在、兵庫県消防設備保守協会で事務局次長を務める長畑武司氏は、西宮市消防局に務め北夙川消防分署で小隊長として消火活動や救助活動に奔走したひとり。当時の経験と自衛消防組織に求めるものを聞いた。
2025/02/19
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方