2024/04/18
防災・危機管理ニュース
官民ファンド産業革新投資機構(JIC)によるJSRのTOB(株式公開買い付け)が成立した。今後はJICの支援を受けたJSRが、半導体材料分野での事業再編を主導し、海外勢と競争できる「日の丸連合」を実現できるかが焦点だ。
半導体は幅広い電子機器に使われる。生成AI(人工知能)の普及をはじめデジタル社会にも欠かせない。日本は半導体そのものでは海外に後れを取るものの、経済産業省によると、主要な半導体材料分野では世界シェアの半分程度を占める。
とりわけ半導体製造に必要な化学薬品フォトレジスト(感光材)はその代表格。フォトレジストは基板に塗られ、微細な回路を作り出すのに不可欠だ。市場シェアは3割のJSRを筆頭に、日本企業5社で9割を占める。
現状は国内企業が世界市場で圧倒するが、先行きは予断を許さない。日本ではメーカーが個別に開発しているのに対し、独化学大手BASF、メルクなど海外勢はM&A(合併・買収)などを進めて技術力と資金力を強化している。
危機感を強めたJSRは2022年、国内勢との業界再編を通じて技術融合を進めようと、JICに協議を打診。今回のTOBにこぎ着けた。JSRのエリック・ジョンソン社長は昨年11月の決算説明会で、「業界で話し合いが加速している」と、同社主導の再編に自信を示した。
ただ、政府が関与した半導体や中小型液晶パネルなどでの「日の丸連合」は苦戦が目立つ。業界関係者からは「まとめれば強くなるかというとそうでもない。急速な再編機運はない」と冷めた声も出ている。
(ニュース提供元:時事通信社)
- keyword
- 半導体
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方