能登半島地震において、福祉避難所はどこまで機能したのか(イメージ:写真AC)

能登半島地震での福祉避難所開設状況

石川県輪島市、珠洲市、能登町、穴水町の4市町は、地震の前に、高齢者施設や障害者支援施設など39カ所の施設と協定を結び、福祉避難所に指定していたが、2月7日時点で開設できたのは15カ所となっている(出典:NHKニュース2月11日)。なお、私たちが4市町の担当者らに聞き取りをして現地調査した結果では、一時的に開設したものを含め26カ所で福祉避難所を開設していた。

福祉避難所の開設自体が難しい(イメージ:写真AC)

福祉避難所を運営した施設長、職員らからは「職員が避難していて開設できなかった」「職員が少人数で最低限のケアをしたが限界だった」「たくさんの人が押し寄せ、なし崩し的に福祉避難所になり職員と地域の人が協力して運営したが疲弊した」「毎日のように受け入れ要請があったが職員が限界で受け入れを断った」という声がある一方で、「通所施設で多くの利用者が広域避難したので福祉避難所として地域の要配慮者を受け入れた」「外部の応援職員の手を借り運営した」「外部の応援職員に完全に任せ、自分たちは別の場所で事業を行った」などにより福祉避難所を継続したところもあった。

なお、自治体職員が福祉避難所の運営をしたという話は聞いていない。大災害になると、自治体職員が一般避難所や物資対応に手一杯で、福祉避難所への支援ができないのは、東日本大震災や熊本地震でも同様だった。

福祉避難所開設・運営マニュアルなどで、自治体職員が一般避難所に避難してきた要配慮者をトリアージして福祉避難所に移送する、自治体職員が避難所運営を担うなどとされているものもあるが、大災害時は不可能と思われる。