2024/03/25
防災・危機管理ニュース
能登半島地震では来日中の外国人技能実習生も被災した。地震が心身に与えた影響は大きく、トラウマを抱えたまま帰国を決めた実習生もいる。石川県珠洲市の蛸島漁港では、不足する漁船乗組員を実習生に頼っているのが実情で、漁協関係者からは「仕事が成り立たなくなる」と不安の声が聞かれた。
「トラウマが今もまだなくならない」。流ちょうな日本語を話すインドネシア人技能実習生のディアン・アンドリアンさん(29)は、元日に起きた地震に苦しめられている。2022年4月から漁船の乗組員を務めており、来日は2回目だ。
仕事が休みで、他の実習生と5人で暮らすアパートで過ごしていた時、突然経験したことのない大きな揺れに襲われた。「日本語の放送はパニックになり何を言っているのか分からなかった」。はだしのまま部屋を飛び出し、地元住民らと近くの山に逃げ、たき火を囲んで一夜を明かした。
母国の両親や妻からは「余震が危ないなら帰ってきて」と言われた。ディアンさんは「家族の力になりたくて日本に来た。もし私に何かあったら力になる人がいない」と語る。漁は1月下旬に再開したが、4月末に帰国することを決めた。
県漁業協同組合すず支所によると、蛸島漁港ではインドネシア人技能実習生約20人を受け入れているが、ディアンさん以外にも帰国希望者がいるという。山崎幸治参事は「後継者がいない中、実習生がいないと漁業が成り立たない」と指摘。実習生の不安を少しでも解消しようと、防災訓練などを検討しているという。
〔写真説明〕石川県珠洲市で震災後初となる定置網漁を再開し、ブリなどを水揚げする漁師ら=2024年1月、同市の蛸島漁港
〔写真説明〕能登半島地震の発生後、避難した山でたき火を囲む外国人技能実習生ら=石川県珠洲市(ディアン・アンドリアンさん提供)
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方