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リスク、倫理、コンプライアンスに関して組織が同じ意見を共有していると考えている企業は多いが、実態はそうはなっていない。倫理文化を調査した報告書によれば、仕事を遂行するためには規則を守らないことは許容されると4分の1の従業員が考えていて、7分の1が過去1年間に規範に反する行動をとっている。しかも、一般の従業員に比べると、強力な倫理文化が根付いていて、コンプライアンスが実現できていると考える管理職は、2.6倍高くなっている。ギャップが存在している。また、若い世代のほうが規則に従わない可能性が高いことも明らかになっている。再度、従業員が倫理的行動、コンプライアンス行動に確実に従っているのかどうか、確認する必要がある。

まずは、こうした違反行動が起きていないかを精査するとともに、そうした報告が上がってきていないかどうかを確認することである。上がってこないのは、従業員が報告手順を理解していないか、信頼してないことを示しているかもしれないからである。行動規範を整備して、教育訓練を実施したとしても、従業員がそれを完全に理解して、行動に移しているとは限らないことも念頭に置くべきである。

コンプライアンスの取り組みを改善

コンプライアンスへの取組みを改善することは、行うべきことの一つである。具体的な倫理規定、行動規範での違反を取り上げ、そのような違反を目撃したか、それに対してどう感じたかなどを話し合うことで理解を深めること、また、倫理基準に関してもどこまでの基準を定めるべきかについて議論することも、規範が上から降りてきたものとしてではなく、従業員が自分たちで考えることを促進させる。さらに、従業員が恐怖心なく自分たちの経験や意見を述べて共有できるようなフォーラムを設けることもありうる。こうした取組みは時間を要するものであるが、従業員が具体的な仕事の現場に即して考えて行動できるようにするためには必須となる。