羽田空港接触事故は本当にヒューマンエラーか
第58回:価値観の棚卸しの必要性(4)

多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
2024/02/29
再考・日本の危機管理-いま何が課題か
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
元日を襲った能登半島大震災に続き、2日に羽田空港で悲惨な事故が起きた。日本航空機と海上保安庁の機体が滑走路で接触、炎上した事故である。海保機の乗員6人中5人が亡くなり、日航機側は14人がケガをした。不幸中の幸いは、日航機乗員乗客に死亡者がいなかったことだろう。
事故の原因に関して、憶測も含めたさまざまな情報が飛び交っていたが、真の原因は現時点では不明であり、運輸安全委員会の調査を待つことになる。ただ、憶測を除外して事実関係だけで整理しておくことも重要であり、その範ちゅうでも十分な考察は可能である。
いうならば、事故の直接的起因となる発生原因として『着陸許可が出ている滑走路に海保機が侵入した』事実は疑いようがない。それがなぜ起きたのか、何層にも掘り下げていくことで発生原因対策につながるのである。
さらに、ものつくりの世界の品質保証における流出原因にあたる原因としては『海保機の滑走路侵入に気付かなかった』ことだ。同様に、それがなぜ起きたのか掘り下げていくことで真因に辿り着き、効果的な対策につなげられる。
あえて「憶測を除外して」と表現したのは、上述したように発生原因と流出原因を分離して論理的に分析せず、感覚的に論ずる記事や報道、ワイドショーの類が余りに多いからだ。批判の意味も込め、そのように表現した。繰り返しになるが、もう一度記述する。
◆着陸許可が出ている滑走路に海保機が侵入した
◆海保機の滑走路侵入に気付かなかった
この二つは憶測の要素の入りようのない事実であり、明確に分けて論じる必要がある。断っておくが、筆者自身は航空管制や航空機事故防止の知識はまったくない。無知である。それでも、この事実は疑いようがなく、この事実から考察をすることはできる。疑問を感じることも可能だ。
最初の発生原因『着陸許可が出ている滑走路に海保機が侵入した』について、巷の風潮は「ヒューマンエラー」という言い方が多いように感じる。確かに、人が間違いを起こすのは当然のことだ。人は機械ではないので、体調面や感情面の変動による影響もあり、決まりを逸脱する間違った動作、操作はつきものである。
しかし、人は間違うという前提に立脚するのは当然であり、それを「ヒューマンエラー」と称してしまった時点で思考停止に陥り、真因追及ができなくなる危険性がある。
再考・日本の危機管理-いま何が課題かの他の記事
おすすめ記事
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方