自治労県本部の労務管理を巡っては、鳥取県本部(鳥取市)が昨年3月、三六協定を締結せずに法定外の残業をさせたとして、労働基準監督署から是正勧告を受けた。「労働者の権利を守る」ことを目的に掲げる自治労の不適切な労務管理について、関係者は「役員のコンプライアンス意識の低さ」を要因に挙げる。
 関係者によると、鳥取県本部は昨年3月1日付で是正勧告を受けると、当時使用者側だった書記長の男性は書記(職員)でつくる労働組合に無断で三六協定届を作成し、同月中旬、労基署に提出。その後、改めて2023年度を有効期間とする協定届を同月31日に提出した。
 また、昨年1月には日本年金機構から、本来は22年5、6月に支給すべき残業代を7月にまとめて支払ったとの指摘も受けていた。長年同様の運用をしてきたといい、社会保険料の負担を少なくするのが狙いだったとみられる。
 不適切な労務管理の背景について、鳥取県本部の関係者は公務員を退職して長く活動してきた当時の役員の問題点を指摘。「公務の現場にいないため、コンプライアンスの意識が低い」と話す。
 自治労中央本部(東京都千代田区)は「(県本部に)直接関与することはできないが、改善に向けてアドバイスはしていく」としている。 

(ニュース提供元:時事通信社)