2024/11/22
防災・危機管理ニュース
ロシアのプーチン大統領は21日、ビデオ演説し、侵攻するウクライナ東部ドニプロに向けて新型の極超音速中距離弾道ミサイル「オレシニク」を初めて使用したと発表した。ウクライナ空軍は先に大陸間弾道ミサイル(ICBM)攻撃を受けたと主張。ロイター通信によると、米当局者は中距離弾道ミサイルという見方を示していた。
バイデン米政権がウクライナに供与した長距離兵器によるロシア本土攻撃を容認し、西部2州に19日以降、米国製の地対地ミサイル「ATACMS」と英国の巡航ミサイル「ストームシャドー」が撃ち込まれたことへの対抗措置という。プーチン氏は「地域紛争(侵攻)は世界的な性質を帯びた」と警告した。
タス通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官は「発射30分前」に自動システムで米国に通告したと説明。一方、ジャンピエール米大統領報道官は、数日前に情報を探知し、同盟国やウクライナと共有していたと明らかにした。首都キーウ(キエフ)の一部西側諸国の大使館が20日に安全上の理由で休館したことに関連がありそうだ。
かつて米ロの中距離核戦力(INF)全廃条約は、射程500~5500キロの地上発射型ミサイルを禁止していたが、トランプ米政権が2019年にロシアの違反を理由に破棄を通告し、条約は失効した。これに関してプーチン氏は21日の演説で「米国は間違いを犯した」と非難。トランプ次期大統領が必ずしもロシアに融和的な態度を取らないことも念頭に、就任前にけん制した可能性がある。
演説では、米国が欧州や日本を含むアジア太平洋地域で中距離ミサイル配備を計画中だと指摘。ロシアも対抗して配備するかは「米国とその衛星国の行動に応じて決定する」と述べた。
米英の長距離ミサイルによるロシア本土攻撃の動きを受け、プーチン氏が発言するのは初めて。ウクライナに兵器を供与した国々を標的に「ロシア製兵器を使う権利がある」と威嚇した。戦況に影響は与えず、ロシア軍は前進しているとも豪語した。ただ、ストームシャドーが使用されたクルスク州では兵士らに死傷者が出たという。
〔写真説明〕21日、モスクワでビデオ演説するロシアのプーチン大統領(EPA時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
-
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方