4.4.復旧活動への事前準備
大規模地震への備えとして設備耐震化に加えて、「設備工事業者」の連絡先を把握しておく、設備復旧要員を自前で育成しておく、などの備えも必要である。東日本大震災では設備工事業者や設備メーカーの「奪い合い」が発生した。ある企業では、設備保全を日頃から訓練していなければいざという時には動けないとの考えから、工場の保守点検を自前の設備保全要員で行っていた。その企業が東日本大震災で被災したが、保全要員が活躍し早期復旧を果たすことができたとのことである。設備耐震化とともに復旧活動をイメージした、上記のような事前対策を行っておくことも有効である。

おわりに


東日本大震災を契機に、各方面で防災・減災対策やBCPの取り組みが見直し・強化されている。今回取り上げた設備の耐震化は、対策費用はかかるものの、人命安全確保と事業継続の両面において有効な対策であり、対策の効果は大きいと考える。しかし一度取り組んだとしても継続的な取り組みとなっていないケースが見受けられる。継続的な取り組みとするためには、耐震対策に関するノウハウの蓄積や継承だけでなく、経営トップの後押しが必要となる。経営トップに対策の必要性を再認識していただき、トップのリーダシップの下、防災・減災対策を推進していただきたい。本レポートを防災・減災対策やBCPの取り組みを推進する一助としていただけたら幸いである。

 [2013年5月29日発行]

【参考文献】
財団法人 日本建築センター 建築設備耐震設計・施工指針 2005年度版
内閣府 「南海トラフの巨大地震に関する津波高、浸水域、被害想定の公表について」(http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/nankaitrough_info.html)(アクセス日:2013年5月27日)

【執筆者】
中島克人
リスクコンサルティング事業本部コンサルティング部
上席コンサルタント
専門は企業防災、BCM、地震訓練

西條聖史
リスクコンサルティング事業本部コンサルティング部
主任コンサルタント
専門は企業防災、BCM

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転載元:損保ジャパン日本興亜リスクマネジメント株式会社 損保ジャパン日本興亜RMレポート92

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