2013/06/12
防災・危機管理ニュース
3.2.吊り物の吊り金具が耐震対応になっていない事例
【事例の概要】
吊り物の建屋梁などへの取り付け部が耐震対応となっていない事例である(写真2)。また吊り物が鉛直吊り材のみで、斜材による振れ止めが施工されていない例(写真3)も見受けられる。
この状況で大規模地震が発生した場合、吊り物が横揺れして周辺の吊り物と接触し、落下する可能性がある。
【対策案】
吊り物の落下を避けるため、写真4のような対策を推奨する。
・梁への取り付け部において、鋼材耐震型吊り金具を設置し、吊り物に水平方向引張荷重が作用しても脱落を防ぐ構造とする
・斜材による振れ止めを設置し、横揺れを防止する
3.3.台車の事例
【事例の概要】
台車を床面にアンカーボルトで固定するわけにはいかないため、耐震対策として台車の車輪にストッパーを取り付けている例がある。
しかし、この状態で大規模地震が発生した場合、ストッパーが機能しても、固定していない設備が床面に置かれているのと同じ状況であるため、移動・転倒する可能性がある。台車は通路沿いに置かれていることが多く、その通路が避難経路に該当する場合には、台車の移動・転倒によって避難経路が塞がれ、避難障害につながる恐れがある。
【対策案】
避難経路を確保するため、以下のような対策を推奨する。
・アンカーボルトで固定した設備や建屋の柱に、台車をチェーンで結束しておく
・台車置き場が避難経路に面している場合には、台車置き場の設置場所を見直す
3.4.屋上横引き配管の事例
【事例の概要】
屋上に敷設された横引き配管の移動・転倒防止対策が、未実施の場合が多く見受けられる(写真5)。建屋建設後に、屋上に横引き配管を新設する場合において、塗布防水やシート防水を損傷させないために、固定などの耐震対策を行っていないと思われる。この事例は工場だけでなく一般のビル等でも見受けられる。
都市ガスの横引き配管が対策未実施の状態で、地震の影響で損傷した場合、ガスが漏洩して火災などの二次災害につながる恐れがある。
【対策案】
横引き配管の移動・転倒防止対策として、以下のような対策を実施する。
・図3に示すように、耐震支持が必要な位置に、平面的に広いベタ基礎を設けて耐震基礎とする(ただし、比較的軽微な機器に用いる)
・パラペットやシャフト立上がり部など非防水部の躯体を利用して耐震支持をする
設備耐震対策の考え方は「建築設備耐震設計・施工指針 2005年度版((財)日本建築センター)」等の指針が参考となる。対策検討の際はそれらの指針を参考にしていただきたい。
※5 「東日本大震災による耐震対策報告書(暫定版) 震災復興支援会議「設備被害対策検討委員会」平成24年9月10日」より
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