2024/01/05
令和6年能登半島地震

能登半島地震から5日、今も多くの道路が寸断され支援の手が十分に回っていない状況だ。交通渋滞などを引き起こさないため、不要不急な現地への通行は控えるべきだが、どうしても被災地支援に行く際の注意点をまとめた。
【持参すべきもの】
・防寒具
・雨具
・長靴
・車中寝具(身動きが取れなくなったときのため)
・ヘルメット
・ヘッドライト
・作業用手袋(写真は軍手だが、できれば防水タイプで作業できるもの)
・タオル類
・水・食料
・携帯トイレ(被災地のものは使わない)
・マスク
・体温計(発熱したら速やかに引き返す)
・消毒液
・スペアタイヤ
・パンク修理セット
・チェーン(スタッドレスはもちろんだが、スペアタイヤにした際のチェーン)
・シガーソケットからの電源・USB電源
・予備燃料:ガソリンの場合は規定の携行缶に入れること
・地図(紙)
・ショベル
・ボロ毛布・段ボール(タイヤがはまった際の脱出用)、土のう(ひび割れへの対応)
・スノーブラシ(窓ガラス用)
・ロープ類:車が動かなくなった際の牽引用など
・脱出用ハンマー
現地に負担をかけない注意点
原則として、被災地に迷惑をかけないことが重要だ。水・食料はもちろんだが、トイレなどは被災地の仮設トイレは使わず、携帯トイレを持っていくこと。
現地の交通状況は、金沢方面から奥能登に行くにしても、富山県高岡方面から行くにしても、現時点では、七尾市を通らざるを得ない。そのため、七尾市以北の奥能登地方へのアクセス道に車両が集中し、さらに途中途中、道路の亀裂や土砂災害の影響で迂回路が設けられたり、工事による片側通行の箇所が多数存在し、交通渋滞が激しい。道の駅やコンビニなどは断水などでトイレは使えない。ガソリンスタンドも、七尾市や輪島の一部では開いているが、多くが休業中だ。
また、現地ではパンクが多く発生している。当然、タイヤはスタッドレスで、パンクが発生した際、応急修理ができるものやスペアタイヤ、スペアタイヤ用のチェーンも欲しい。雪が降れば路面が見えなくなる。仮にひび割れなどにタイヤがはまった際でも脱出できるようにボロの毛布や段ボール、ロープ、ショベル、土嚢(袋だけ)なども持っていったほうがよい。
紙の地図も手元にあれば便利だ。現地道路の多くが寸断されている可能性があるし、突然、通行止めにあう可能性もある。さらに、近隣にホテルをとっていても、突然の土砂災害などで身動きがとれなくなる危険性はあるため、その際でも車の中で過ごせるよう寝具などもあれば安心だ。
夜間は視界が悪く、段差などが見えずらいためなるべく通行せず、さらに被災地に行く際にはできれば2人以上でペアになって乗車し、1人の場合でも常に会社などと連絡が取りあえるよう日程や連絡手段を細かく共有しておくことが大切だ。
知っておくと便利なサイト
特定非営利活動法人のITS Japanでは、「令和6年能登半島地震」の対応として、乗用車・トラック通行実績情報を公開している。乗用車・トラック通行実績情報は、ITS Japanが本田技研工業、パイオニア、トヨタ自動車、日産自動車、いすゞ自動車、UDトラックス、日野自動車から提供を受けた、匿名かつ統計的に作成された情報を使用し、被災地域内外での移動の参考となる情報を提供することを目的として災害時に提供している。ただし、降雪などの状況で、道路状況は絶えず変わる。直近3日間が通れても当日が通れなくなる可能性もあることを考えておく必要がある。
【乗用車・トラック通行実績情報】
https://disaster-system.its-jp.org/map4/map/#map=9/37.255336/137.079356&layer=gsi
トヨタ自動車も、実際に車が通行できた道路をインターネットで公開している。
https://www.toyota.co.jp/jpn/auto/passable_route/map/
また、石川県警は4日午前7時から、七尾市の田鶴浜東交差点から国道249号や県道1号で輪島市や珠洲市に向かう車両の総量を抑制する措置を始めておりMAP通りに通れない可能性はある。災害復旧の車両を優先させるための措置だ。
繰り返しになるが、不要不急の通行は避け、仮に現地に行くにしても、被災地に負担をかけない万全の準備が必要になる。
オピニオンの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/03/05
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/04
-
-
-
トヨタが変えた避難所の物資物流ラストワンマイルはこうして解消した!
能登半島地震では、発災直後から国のプッシュ型による物資支援が開始された。しかし、物資が届いても、その仕分け作業や避難所への発送作業で混乱が生じ、被災者に物資が届くまで時間を要した自治体もある。いわゆる「ラストワンマイル問題」である。こうした中、最大震度7を記録した志賀町では、トヨタ自動車の支援により、避難所への物資支援体制が一気に改善された。トヨタ自動車から現場に投入された人材はわずか5人。日頃から工場などで行っている生産活動の効率化の仕組みを取り入れたことで、物資で溢れかえっていた配送拠点が一変した。
2025/02/22
-
-
現場対応を起点に従業員の自主性促すBCP
神戸から京都まで、2府1県で主要都市を結ぶ路線バスを運行する阪急バス。阪神・淡路大震災では、兵庫県芦屋市にある芦屋浜営業所で液状化が発生し、建物や車両も被害を受けた。路面状況が悪化している中、迂回しながら神戸市と西宮市を結ぶ路線を6日後の23日から再開。鉄道網が寸断し、地上輸送を担える交通機関はバスだけだった。それから30年を経て、運転手が自立した対応ができるように努めている。
2025/02/20
-
能登半島地震の対応を振り返る~機能したことは何か、課題はどこにあったのか?~
地震で崩落した山の斜面(2024年1月 穴水町)能登半島地震の発生から1年、被災した自治体では、一連の災害対応の検証作業が始まっている。石川県で災害対応の中核を担った飯田重則危機管理監に、改めて発災当初の判断や組織運営の実態を振り返ってもらった。
2025/02/20
-
-
2度の大震災を乗り越えて生まれた防災文化
「ダンロップ」ブランドでタイヤ製造を手がける住友ゴム工業の本社と神戸工場は、兵庫県南部地震で経験のない揺れに襲われた。勤務中だった150人の従業員は全員無事に避難できたが、神戸工場が閉鎖に追い込まれる壊滅的な被害を受けた。30年の節目にあたる今年1月23日、同社は5年ぶりに阪神・淡路大震災の関連社内イベントを開催。次世代に経験と教訓を伝えた。
2025/02/19
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方