システム復旧と優先業務再開とのアンマッチ
第4回:ビジネス不在のIT-BCP
荻原 信一
長野県松本市出身。大学卒業後、1991年から大手IT企業に勤務。システム開発チームリーダーとして活動し、2005年にコンサルタント部門に異動。製造業、アパレル、卸業、給食、エンジニアリング、不動産、官公庁などのコンサルティングを手がける。2020年に独立。BCAO認定事業継続主任管理士、ITコーディネータ。
2023/12/06
ざんねんなBCPあるある―原因と対処
荻原 信一
長野県松本市出身。大学卒業後、1991年から大手IT企業に勤務。システム開発チームリーダーとして活動し、2005年にコンサルタント部門に異動。製造業、アパレル、卸業、給食、エンジニアリング、不動産、官公庁などのコンサルティングを手がける。2020年に独立。BCAO認定事業継続主任管理士、ITコーディネータ。
策定から一度も見直しがなされていないBCP、いざというとき機能するのか? 実際、単に計画書類があるというだけでは、現実との間にギャップが生じるのも無理はありません。本連載ではそうした状態が生まれる原因と、そこへの対処を考えます。第1章として「リソース制約と事業継続戦略の検討・見直し」のなかに潜む「あるある」を論じていますが、今回は「ビジネス不在のIT-BCP」を取り上げます。
・ビジネス不在のIT-BCP
(関西地区の大手および中堅、主に製造業情報部門の例より)
私が講演を担当したセミナーで、事前に行ったアンケートのうちの1問です。セミナーの参加者は、ほとんどが中堅から大手の製造業の情報部門の方でした。IT-BCPを策定済みという参加者の方を対象とした質問です。
回答は(1)が17%、(2)が50%、(3)が33%という結果で、事業部門とのすり合わせがあまり行われていないことがわかりました。
●IT-BCPの策定時に事業部門とのすり合わせを行ったか
なぜ事業部門とのすり合わせを行わなかったのか、理由を聞いてみると、下記のような声がありました。
では、どんなIT-BCPを策定したのか聞いてみたところ「結果的に目標復旧時間(RTO)が決められないので全部一律で設定しました。目標復旧時間(RTO)には根拠はありません」という回答が多くありました。
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