事業継続マネジメントのなかに潜む「あるある」の課題は(イメージ:写真AC)

BCPの計画と現実とのギャップを、多くの企業に共通の「あるある」として紹介、食い違いの原因と対処を考える本連載。第2章は「BCPの実効性、事業継続マネジメント、発生コスト」に焦点をあてていますが、今回と次回は事業継続マネジメントのなかに潜む「あるある」を取り上げます。まずは事業継続マネジメントの課題について、筆者の考えを語ります。

第2章
BCPの実効性、事業継続マネジメント、発生コストの「あるある」

(6)事業継続マネジメント

・BC「M」の重要性

BCPという書物さえあれば、災害などの危機に直面した会社を存続の危機から救ってくれるというものではありません。従業員がそれを知らなければ何の役にも立ちませんし、知っていたとしても従業員が役割を認識して行動できなければ役に立ちません。

また、BCPそのものが訓練などを通じて検証され見直しされたものでなければ、やはり役に立たないものになってしまうでしょう。

BCPの実効性を確保するにはBCMが不可欠。だが、BCMをまわしていくのは面倒では(イメージ:写真AC)

BCPを実行可能なものとして機能するよう維持していくことがBCM(事業継続マネジメント)であり、外的な環境の変化や経営方針、リスク対策の進ちょくや体制など内部の変化に合わせていくことが必要です。また、繰り返し行う訓練を通じてBCPを見直していくこと、教育によって従業員の認知を高めること、訓練で判断力や対応力を高めていくこと、経営が積極的に関与することが求められます。

「M」は不可欠だけど新しくつくるとメンドクサイ

BCMの定義を見てみましょう。

BCMの定義:BCを実現するためのマネジメント・プロセス

・BCP(事業継続計画)を策定
・実施及び運用、教育・訓練
・点検及び是正措置、経営者による見直し 等


NPO法人事業継続推進機構標準テキスト第11版P17 より引用

BCMを推進するとき、日常の組織活動から分離された秘密結社的なBCM推進組織をつくって、ひそかにBCPを見直したり訓練を行ったりするのは非現実的ですし、効果も得られません。また、BCMのための新たなルールを追加したとしても負荷になるだけです(新たなルールを考えること自体が負荷ですしメンドクサイですよね)。

結論から先に言ってしまうと、BCMの推進は、一定のサイクルで回っている、いま動いている組織のマネジメントに乗せてしまいましょうということです。