【エルサレム時事】イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘休止合意が24日、発効した。双方は合意に基づき、同日午前7時(日本時間午後2時)から4日間の戦闘休止に入った。また、ハマスは、イスラエルからパレスチナ自治区ガザに拉致した人質のうち、イスラエル人の女性や子供13人の引き渡しを始めた。カタール外務省によると、ハマスはさらに、合意とは別にタイ人10人とフィリピン人1人の計11人も解放した。
 これより先、タイのセター首相はX(旧ツイッター)に、タイ人12人が解放されたと投稿しており、情報が錯綜(さくそう)した。
 10月7日にハマスがイスラエルを急襲して以降、激しい衝突が続いてきたガザで、双方の合意による戦闘休止は初めて。支援物資や燃料の搬入も開始された。報道によれば、解放されたイスラエル人の人質は、ガザ南部のラファ検問所からエジプトに入り、空路でイスラエルに帰還。その後病院で治療を受け、家族と面会する。
 イスラエル軍はこれより先、声明で「(戦闘休止の)準備を完了した」と発表。ロイター通信は、イスラエル軍の戦車を含む車両がガザから離れるのを記者が目撃したと報じた。ハマスは23日の声明で、他のパレスチナ勢力を含む「全ての軍事行動が停止される」と述べ、戦闘休止を履行する意思を表明した。
 戦闘休止入り直後には、ガザに近いイスラエル領内で空襲警報が鳴った。ガザ南部から北部に向かおうとした住民がイスラエル軍に撃たれ、負傷したとの情報もある。大きな衝突は伝えられていないが、戦闘休止が維持されるか不安定な状況だ。
 カタール政府が仲介した合意によれば、ハマスは、人質約240人のうち女性や子供計50人を解放する。13人の引き渡しはこの第1陣で、ハマスは追加でタイ人らも解放した。タイ人に関しては、イランが仲介したとの情報がある。戦闘休止期間の延長を視野に、ハマスは追加の人質解放を検討する。
 イスラエル側も、収監するパレスチナ人の女性や子供150人を順次釈放する。ロイターがパレスチナ当局者の話として伝えたところでは、24日は女性24人と10代の男性15人の釈放が見込まれる。
 期間中は人道支援物資のガザ搬入が拡大し、ハマスは、トラック200台分の支援物資と4台分の燃料が毎日搬入されると説明。荷物を積んだトラックが24日朝以降、エジプト側から境界のラファ検問所に入った。イスラエル軍はトラック8台分の燃料などがガザ内の国連当局者に渡ったと明かした。支援拡大により、イスラエル軍の攻撃で悪化したガザの人道状況が改善するかが焦点だ。 
〔写真説明〕24日、パレスチナ自治区ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所で、イスラム組織ハマスによる人質の解放を待つ人々(ロイター時事)
〔写真説明〕24日、支援物資を積み、対エジプト境界のラファ検問所からパレスチナ自治区ガザに入ったトラック(AFP時事)
〔写真説明〕24日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスで、戦闘休止に伴い帰宅する避難民(ロイター時事)

(ニュース提供元:時事通信社)