2018/07/24
危機管理の要諦
企業も対策が急務
ちなみに、企業においても熱中症により命を落とす人は少なくない。2010年には47人が職場において熱中症で命を落としている。作業環境の配慮が足りなかったり、応急措置を怠っていたとすれば、安全配慮義務違反も問われかねない。

周囲の初動が大切
では、なぜ被害を防げないのか?
問題として考えられるのが、熱中症を甘く見て十分な対策をとっていない本人の問題に加え、周辺にいる人たちの初動対応だ。
熱中症対策で言われることは、「水をこまめに飲む」「塩分をほどよくとる」「日常的に睡眠や栄養をしっかりとる」など、一見、誰でも簡単にできそうなことばかり。あえて特別な対策をしなくてもいいと、甘く考えがちだ。確かに、熱中症に関するニュースを聞いていると、「こまめに水分補給をするように」と繰り返されているだけで、周囲に重症者が出た際の対応までは意識が回らない。
いざ、目の前に熱中症患者が現れた時には、それが熱中症によるものなのか、どう対応していいのかもわからず、まず水分補給をさせようと思っても、すでに患者は自分では水も飲めない状況となっていて、救急車が到着したときには手遅れになってしまう。
軽度・中度・重度によって対応は異なる
厚生労働省によれば、「熱中症」とは、高温多湿な環境に長くいることで、徐々に体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指す。その症状に応じて、軽度、中度、重度と分類されるが、それぞれの症状によって取るべき行動は異なる。
総務省消防庁では、症状に応じた対処方法や医療機関への受診の判断基準をパンフレットにまとめている。
それによると、症状が軽度の場合、症状が改善すれば医療機関の受診は必要ないが、中度以上の状態なら医療機関の受診を推奨している。判断基準となるのが自分で水が飲めない場合や、症状が改善されない場合だ。さらに、意識障害やけいれんが起きて重度が疑われるときには、救急車を要請することとしている。具体的な応急手当についてもイラスト付きで紹介されているので分かりやすい。


呼びかけへの反応がわるい場合は直ちに119番
こうした初動対応の手順をわかりやすく示しているのが、環境省がまとめた「熱中症環境保健マニュアル 2018」である。
周囲に熱中症が疑われる人が発生した場合の基本的な流れを解説。
まず、呼びかけに応えないときには、すぐ救急車を要請する。
その際の注意点として、救急車が来るまでの間、呼びかけへの反応がわるい場合は無理に水を飲ませてはいけないことや、氷のうなどがあれば、首、わきの下、太ももの付け根を集中的に冷やすことも盛り込んでいる。

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