虐待や性被害を受けている女性の支援活動を行っている一般社団法人Colaboの会計不正疑惑が、今SNSを中心にネット界で大きな物議を醸しています。
本件は、約17万名(2023年1月現在)のフォロワーを持つ「暇空茜」と名乗るひとりの男性が、東京都が支出した委託料2600万円の使い道について住民監査請求を使って追及したことからはじまりました。
Colabo側は誹謗中傷・デマを拡散されたとして弁護士団(7人)を結成し暇空氏を提訴。住民監査請求を行った暇空氏に対し、会見で弁護士団が”リーガルハラスメント”という言葉を用いて批判したことが、ネット民のみならず弁護士界からも「住民監査請求という市民の権利行使に対して弁護士が使う言葉ではない」と批判が起きました。暇空氏はSNSを使って支援を呼びかけ約7000万円を集め、一部の経費精算に不当な点があると認められた住民監査請求の結果について、Colaboに対し徹底抗戦の姿勢を表明しています。
このようにして「Colabo問題」はネットメディアを含むさまざまなメディアの報道によって事態がどんどん大きくなっています。
今回Corabo側は完全に広報対応を間違えていると思いますが、真相も解明されていませんし、本件の是非について言及するつもりはありません。しかし本件はたった一人のインフルエンサーも軽視できないという、一億総メディア時代を象徴するサンプルであると感じたので、今回は本件をベースに「企業のコミュニケーション戦略のリスク」という視点から、企業としてどう向き合うべきか考えてみたいと思います。
インフルエンサーを軽視してはいけない
デイリー新潮の取材によると、たった一人でここまでネット世論に影響を与えた暇空氏は、開発したゲームが大ヒットし、勤めていた会社の時価総額を100億円近くにまで急成長させた経歴があります。しかしその後暇空氏は、同社社長との関係が悪化し、9億円の損害賠償を求める裁判を起こしました。そして、提訴から7年かけて最高裁まで争った末、6億円の賠償命令を勝ち取りました。途中、相手方が提案してきた3億円の和解案も蹴ったうえで、0円か6億円の中で勝利を収めたのです。
「社会的弱者」「バカで暇人」「ネットのヘビーユーザーで年収が少ない」など、炎上に加担するネット民に対するネガティブなイメージを持つ人は少なくありせん。しかし、このイメージは実態とは乖離していることが確認されています。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授の山口真一氏の研究によると、炎上に加担するネット民は年収が低いどころかむしろ有意に高年収であることがわかっています。
今回のように、たった一人であってもインフルエンサーが持つ影響力は計り知れません。企業は力を持つインフルエンサーに対し、影響力を持つひとつのメディアとしてコミュニケーション戦略を施策することが求められます。
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