内閣府が8日に発表した「北海道・三陸沖後発地震注意情報防災対応ガイドライン」では、企業に対しても「後発地震注意情報」が発信された場合における防災対応について確認することを求めている。社会経済活動を継続させるため、鉄道や店舗などの休止は求めないが、①揺れを感じたり津波警報等が発表されたりした際に直ちに避難できる態勢の準備、②想定されるリスクから身の安全を確保する備え、③後発地震に注意し、全ての企業等が実施すべき備えの3項目について具体的な対応例を示し、平時から防災対策や事業継続体制を強化していく必要があるとしている。被害が想定されるエリア以外に本社を持つ企業でも、当該エリアでの事業活動をどう継続させるか、出張者などの安全をいかに確保するかなど、検討すべき事項は多い。情報の発表後は、大規模災害後のように、食料の買いだめや宿泊施設の予約殺到など急激にニーズが高まるような事態も考えられる。対応例をもとに、想定をふくらませながら事業継続体制を見直していくことが大切だ。

「北海道・三陸沖後発地震注意情報」とは、千島海溝と日本海溝沿いの北海道、青森、岩手3道県沖でモーメントマグニチュード(Mw)7.0以上の地震が発生した場合、Mw8級以上の巨大地震が続発する可能性があるとして、北海道から千葉県にかけての太平洋側などに巨大地震の注意情報を出すというもの。地震が続発する前の「事前避難」は求めず、交通規制や学校の休校も行わないが、政府では、1週間程度は大きな揺れや津波への備えを徹底するよう呼び掛ける。注意情報の発表は気象庁と内閣府が行い、地震発生の約2時間後に記者会見を開いて発表する。これを受け、各自治体では住民や企業に防災対応の強化などを周知する。最新の想定では冬の深夜にM9クラスの地震が日本海溝で起きれば最大で犠牲者数は19万9000人に上るとの報告も出ている。ただし、こうした巨大後発地震が必ず起きるわけではなく、発信されるのは極めて不確実性が高い情報になる。M7以上の地震から1週間以内に大規模な後発地震が発生するのは100回に1回程度としている。東日本大震災では、その2日前に三陸沖でM7.3の地震が起きた。

ガイドラインに掲載された企業の防災対応のチェック項目は以下の通り。