高齢者施設等の安全な立地に国・自治体あげて取り組む必要が(写真:写真AC)

津波浸水想定区域の高齢者施設は1.7倍に増加

9月24日、NHK仙台の『東北ココから』に出演の機会をいただいた。番組名は「浮かび上がる被災リスク~高齢者施設3800の調査」(※)である。

東日本大震災では、岩手、宮城、福島の3県、52カ所の高齢者施設において、入居者・利用者485名、職員173名の計658名が犠牲になった。昼間で職員数が多く、利用者が起きている時間帯であるにもかかわらず、多くの方が亡くなった。仮に深夜の津波で利用者が寝ていて、職員が少なかったらと思うとぞっとする。

そうなると、高齢者施設、特に夜間も利用者を預かる入所型の特別養護老人ホーム、ケアハウス、グループホームは津波の浸水しない地域に立地するべきである。実際に、被災施設の中には高台移転したものもあると聞いていた。

津波浸水想定区域内への立地は増加している。写真は土地のかさ上げ(写真:写真AC)

今回、NHKは東北6県にある入所型高齢者施設3800余りの立地を調査した。その結果、津波浸水想定区域への立地は、同区域を公表している青森、秋田、山形、福島4県で212施設に及んだ。驚くべきことにその数は、この4県では東日本大震災前に比べ1.7倍に増加している。なお、岩手と宮城は津波の浸水想定を新たに作成している途中なので分析していない。

※NHK仙台放送局の公式サイトでは、各県の状況を詳しくまとめたWEB記事とショート動画を配信している。
https://www.nhk.or.jp/sendai-blog/bousai/454489.html