なぜ御岳山は予知できなかった!?

噴火の兆候については、2015年5月の口永良部の噴火で、警戒レベル5になって住民が避難したことは記憶に新しいと思いますが、この時は、気象庁の地震計があったにも関わらず、噴火が始まった9時50分までは何も記録されていません。要するに予知ができなかった。山頂部には地震計がいくつも置いてありましたが、2014年8月3日の噴火で全部が動かなくなってしまいました。気象庁は近づくと危ないからといって一切修理をしないで山麓部に設置された1基を使ってモニタリングをしていたわけです。この地震計では事前の兆候である地震は観測できなかった。しかし、ある大学で無人ヘリを使って山頂に簡易型の地震計を置いて観測していたところ、山頂に置いた地震計は、数日前から山頂部だけで感じるような地震が増えていく様子が記録されていました。火口付近に観測点を置いて、しっかり観測していれば、今回のような水蒸気噴火であっても前兆を捕まえることはできるという1つの例です。

一方、2014年9月の御嶽山の噴火では、9月27日の噴火より前の9月10日、11日に山の下で50回を超えるような地震が2日間観測されました。この地震があった時になぜ噴火警戒レベルを2に引き下げて、火口周辺警報を出さなかったのかと、気象庁が責められているわけですが、彼らを弁護するわけではないですが、1つの根拠は、御嶽山では2007年に非常に小さな、山頂に行ってみたら火山灰があった程度の噴火を経験していることです。そんな小さな噴火でも、1カ月以上前に地震が増え、一旦下がってからまた地震が増えた時点で噴火が起きました。地殻変動で数㎝山も膨らんでいます。こんな小さな噴火でも地震が増えるだけでなく、山が膨らむ地殻変動を伴うと彼らは思い込んでいたので、地震が起きても、噴火警戒レベルを1のままにしていたのです。それが災害につながってしまった1つの要因です。ただ、明らかに前兆現象といえるものはありました。噴火の11分前に発生した火山性微動です。

そして7分前になって山が膨らんだことが観測点でも確認されました。このあたりで気象庁もあわてて警報を出そうとしたのですが、もう数分しか残っていないので、警報を出す前に噴火が始まってしまったということです。