「顕著な大雨に関する情報」の発表形態

先ほどの4条件が全て満たされた時には、図2のような情報が「顕著な大雨に関する情報」として文章形式や図形式で発表されることとなっています。

画像を拡大 図2. 顕著な大雨に関する情報の発表例(2021年6月現在)(出典:国土交通省作成の資料より抜粋)https://www.jma.go.jp/jma/press/2105/24a/03_sankou.pdf

線状降水帯が発生していることを報道などで把握した場合は、気象庁の「雨雲の動き」や気象レーダーが閲覧できるサイトやアプリなどを通じて、線状降水帯が全体としてどちら方向に向かっているか、この先さらに雨が継続しそうかを見るようにしてみてください。次から次へと雨雲がかかる状況がしばらく継続しそうな印象があれば事態は改善しないと思われます。そのような時は時間を追うごとに河川の状況や土砂の状況がますます危険になるため、早急に対応しなければなりません。

また、今は活発な雨雲の帯から離れた場所であったとしても、線状降水帯が自分の地域に向かってくるようであれば今後危険な状況になると判断できます。

▼雨雲の動き
https://www.jma.go.jp/bosai/nowc/

なお、図3のように1つの線状降水帯といっても少しずつ雨量が異なることがあるので、実際にどの地点で土砂災害の危険性が高まっているのか、どの河川が氾濫しそうになっているかは、気象庁の土砂キキクルや洪水キキクルで確かめていくようにします。

土砂キキクルで濃い紫色が出ている所は土砂災害警戒情報の基準を実況で超過している箇所、洪水キキクルで濃い紫色が現れた中小河川は警報基準を大きく超過した基準をすでに超えている河川です。線状降水帯とキキクルの濃い紫色の組み合わせは特に危険と覚えておきましょう。

▼各種のキキクル(危険度分布)
https://www.jma.go.jp/bosai/risk

画像を拡大 図3. 熊本地方にかかった線状降水帯の例。図の中の数字はアメダスで観測された10分間雨量。線状の雨雲がかかる場所でも多いところでは17ミリ、少ないところでは4.5ミリと差があることが分かる(出典:気象庁ホームページより引用)

最後にまとめとなりますが、「顕著な大雨に関する情報」が出る時は災害の発生や拡大を見越してすぐにでも行動すべき時です。線状降水帯がかかる中で遠方へ避難することはかえって危険であることが見込まれるため、河川の氾濫対策としては安全が確保できる高いところへの移動、土砂災害の対策としては危険な場所から可能な限り離れるという代替措置が求められます。線状降水帯がかかり、キキクルで濃い紫色の表示となっているのにもう少し様子を見ようとして時間を無駄にしてはいけません。

かなり危険な状況を伝えるのが、今回発表される「顕著な大雨に関する情報」です。そうしたことを踏まえて、どう利用するのかを皆さんもぜひ考えておいてください。