2021/05/18
【オピニオン】新たにリスク部門に着任した人たちに贈る言葉
業種や業態、規模、地域は違っても、危機管理担当者の悩み、やりがい、目標、思いには共通点が多くある。組織の垣根を越えてそれらを共有することは、個々が直面する課題解決のヒントになるはず。企業の防災・BCP、リスクマネジメントの現場をまわす実務者に今の取り組みと仲間へのアドバイスを聞くシリーズの第3弾。
危機管理をアップデートするために

ヤマハ(静岡県浜松市)
総務部BCP・保険・環境グループ主事
松島一博氏
松島氏のアドバイス
❶ 事業継続は従業員一人一人が命を守るところから。まずは防災意識を底上げ。
❷ 事業所や事業部門の担当者とコミュニケーションを取り、常に訓練の質を向上。
❸ 被災確率は会社以外のほうが高い。自宅や地域の防災にも目を向ける。
https://www.risktaisaku.com/feature/bcp-lreaders
――現在の役職に至った経緯を教えてください。
出身地が静岡県浜松市で、東京の大学を出てUターン就職。1991年入社ですからちょうど30年になります。最初はアフターサービスの部署に配属され、楽器や音響機器の修理・メンテナンスを9年近く担当。その後、当社の音源を使った携帯電話の着メロを普及させるプロジェクトに携わり、半導体の営業を十数年担当しました。
総務部に異動したのは6年半前の2014年11月。ただ、きっかけはもっと前で、98年からプライベートで始めた災害ボランティアにさかのぼります。労働組合活動の関係でボランティア育成講座(連合東京ボランティアサポートチーム)に参加したのですが、講座を通じてとてもいい仲間に出会えました。
98年の夏、水害で被災した福島県の大信村(現白河市)に、その仲間たちとバスで支援に行ったのが最初の活動です。そこから数々の被災地に行き、東日本大震災のときは静岡県ボランティア協会が派遣する第13次隊に加わって活動しました。
その後も災害ボランティアコーディネーターの養成講座を受講したり、防災士の資格を取ったり。そうなると、今度はそれを仕事に生かしたくなります。当社には社員が自分の経験や資格を自己申告して仕事に生かす制度があるので、そこに申告したところ、防災・BCPの強化を課題としていた総務部への異動となりました。
――主にどのような業務を行っているのですか。
私が所属する総務部のBCP・保険・環境グループは総勢15人。うちBCPに携わるのは、グループリーダーを含め4人です。会社にはガバナンス上の組織としてリスクマネジメント委員会があり、その下部組織にBCP・災害対策部会があるのですが、その部会事務局を我々のチームが担当しています。
防災・BCPの取り組みは歴史が長く、防災に関しては、東海地震を想定した訓練を私が入社した頃すでに行っていたと記憶しています。当社の国内生産拠点は本社のある静岡県遠州地域に集中していますから、そこを中心に年2回の地震防災訓練を実施しています。
【オピニオン】新たにリスク部門に着任した人たちに贈る言葉の他の記事
- 常に問う「本当に命を守る行動が取れるのか」
- 「リスク評価アンケート」を従業員への教育活動に
- BCPはより戦略的に、複数シナリオで準備
- 新しい力でリスクマネジメントのDXを起こそう
- 3つのスキルと3つのワークを意識して
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
-
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方