2017/12/22
防災・危機管理ニュース

東京都は21日、「今後の帰宅困難者対策に関する検討会議」の第3回会合を開催。報告書のとりまとめへ議論を行った。首都直下地震の場合、都内で約517万人の発生が見込まれる帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設について、万が一のけがなどの際の事業者免責への取り組みとして都独自の補償制度の提案がなされ、出席者の賛同を得た。
一時滞在施設で帰宅困難者がけがを負うなどの被害を受けた場合、民法上施設管理者が責任を負うことになっている。このこともあり、7月1日現在都内918施設、そのうち民間施設は460施設にとどまっている。
報告書案では「民間施設に損害賠償責任が及ばない免責のしくみづくりに向け、引き続き検討」となっていたが、丸の内総合法律事務所・弁護士の中野明安委員が「都が主体的に取り組むべき」と意見。中野委員は「都が帰宅困難者に災害時の一斉帰宅の抑制を呼びかけている以上、帰宅困難者の自己責任とすることも適切ではない」とし、一時滞在施設内でけがを負うなどの被害があった場合に備え、条例などで都が帰宅困難者への賠償に代わる補償制度を検討すべきだと提案した。
ほかの委員も「一時滞在施設は本来、都がすべきことを民間に任せている形。都が責任を持つのは筋が通る」など賛成。報告書にどう盛り込むか今後検討が行われる方向となった。一時滞在施設の増加を図る。報告書案ではさらに既存の施設についても備蓄品購入費用補助のさらなる拡充などを行う。
また普及啓発に注力。一斉帰宅の抑制については、道路や歩道が人で埋まり、救命や救助に支障をきたす可能性もあることから、発災直後は「社会全体のために帰らない」という機運醸成を行う必要があるとした。帰宅困難者が退避先で積極的にボランティア活動を行い、「助けられる側」から「助ける側」に回るような取り組みの必要性にも触れた。
要配慮者に対しては一時滞在施設へのベビーフードや粉ミルク、ほ乳瓶の備蓄促進、バリアフリー化のほか、外国人とのコミュニケーションとしてやさしい日本語の活用を盛り込んだ。例えば「避難所」は「みんなが 逃げる ところ」といったように平易な言葉に換える。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方