地域全体の物流確保へ
西日本高速道路株式会社四国支社

香川地域継続検討協議会のメンバーで、四国内の高速道路を管理している西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)四国支社では、南海トラフ地震に対して、瀬戸内側から太平洋側への救援救助を円滑に進められるよう、高知自動車道を最優先して復旧させることをBCPの要としている。しかし、達成のためには、自社のBCPの強化だけでなく、高速インターチェンジ(IC)入口までのアクセス道や、IC出口からの輸送路の優先復旧など、地元自治体や建設業者との連携が必要になる。

「橋梁の耐震補強は終了している。被害が出るとすれば、橋梁との継ぎ目の段差や、切土からの土砂の小崩落が考えられる」。 

NEXCO西日本四国支社防災担当部長の江川元幾氏は、BCPの現状をこう説明する。段差などの比較的小さな被害についてはグループ会社と連携し、土嚢を積むことで簡易復旧し、大規模な被害が発生した場合については、建設関連団体などと協定を結んで体制を整えている。他にも自治体や陸上自衛隊と相互応援の協定を結び、災害時に備えている。例えば、自衛隊にはIC以外の場所からも高速道路に入ってもらえるよう緊急の開口部の鍵を貸与するなど、支援を受けられるようにしている。

ボトルネックとして懸念しているのは、資機材や作業員の確保だ。 

「自分たちも被災する可能性が高い中で、本当に必要な人数が集まれるかは分からない」(江川氏)。 

そこで、災害時には、香川、徳島、愛媛、高知と各県の高速道路事務所が置かれている主要ICに一定のメンバーが自動参集し、それぞれ高速道路事務所の車などを使って、被害状況のパトロールに出動できる体制を整えている。

現地事務所に必要な人数が集まらないことも想定する。高松市の四国支社には約150人の社員がいるが、その約半数が、指示の有無に関わらずに、直接、高松中央インターに集まり、応援体制をとることにしている。 

課題は、主要拠点からICまでのアクセス道や、ICから主要拠点までのアクセス道など高速以外の一般道の整備だ。せっかく高速道路が先に開通しても、ICまでの道路の復旧が遅れれば、地域全体にとって重要な機能を果たすことにはつながらない。 

「高速道路だけ開通しても町に物資が入っていかない。アクセス道路の道路管理者との連携が重要だ。現在、こうした課題も協議会で提案させてもらっている」(江川氏)。 

課題を解決するためには、そもそも、どこの主要拠点とIC入口をつなぐのか、IC出口からどの主要拠点へつなげるのか、主要拠点を選定する議論も伴う。協議会では現在、陸路、空路、海路から主要拠点を洗い出し、ICへとつなげる計画を策定している。陸路では、本州からの支援ルートになることが見込まれる瀬戸大橋や明石海溝大橋方面からのアクセス道を確保、空路は高松空港、海路は物資が集積する高松港がメインとなる。このほか高松市が指定する物資拠点などからのアクセスも優先復旧の検討がなされている。