四国版「くしの歯作戦」に向け産官学連携

高知県や徳島県の沿岸部を中心に、南海トラフ地震により甚大な被害が予想される四国では、県、国、ライフライン企業、大学など産官学の関係機関が一体となり、被災後に地域全体を早期に復旧させるための計画「四国地震防災基本戦略」を策定している。これを受け香川大学は、BCPの考え方を地域全体にあてはめ、地域にとって重要な機能を優先的に継続・復旧させる地域継続計画(DCP:District Continuity Plan)を提唱し、現在、具体化に向け事業者間の調整を進めている。ポイントは各組織のBCPを、地域継続の上位概念のもといかに最適化させるかだ。

四国は、南海トラフ地震などによる広範囲に巨大津波により、高知県土佐清水市、黒潮町、四万十町で最大津波高が30mを超えるなど、深刻な被害が想定されている。津波による死者想定数は約6.8万人、負傷者数が約0.5万人、要救助者数が約1.3万人、これに加え、震度6強以上の強い揺れにより、建物倒壊による死者約2.5万人、負傷者約14.6万人、要救助者約8万人が発生すると考えられている。四国4県の総人口約390万人に対して、死者、負傷者、要救助者が33.7万人と、1割近くに上る計算だ。 

香川大学は、こうした課題に対し、2012年から企業、行政、ライフライン事業者らとともに香川地域継続検討協議会(会長:香川大学危機管理研究センター長白木渡氏)を立ち上げ、地域継続計画(DCP)のあり方を検討してきた。同協議会が定義するDCPは、地域を継続させるために、どのような機能をいつまでに復旧させるのかを明確にし、支障となるボトルネックなどを洗い出し、実行可能な計画としてまとめるというもの。 

具体的な流れは以下の通りだ。


1.想定する災害を洗い出す


2.地域がどのような影響を受けるかを分析する(地域インパクト分析)


3.地域にとって主要な機能(活動)とそれを実行する上で支障となるボトルネックを把握する


4.地域の何の機能を、どの地域を優先復旧させるのか重要業務を選定する


5.目標復旧時間を設定する


6.実現に向けた具体的な戦略を立てる 

四国版DCPのイメージは、「四国地震防災基本戦略」に基づき、比較的被害が少ないことが想定され、国の緊急災害現地対策本部が置かれる香川県高松市を拠点に、そこから被害が大きい高知、徳島の沿岸部などに救助救援活動を展開させる。