地域を守るために企業は何をすべきか?

企業の事業継続計画の取り組みに併せて、地域全体をいかに早期に復旧させるのか地域貢献の議論が各地で始まっている。

徳島県鳴門市に本社を持つ大塚製薬工場は、自社のBCPの見直しに加えて、大規模災害時の地域貢献のあり方として、近隣住民の工場への受入れ準備などを進めている。地元に住んでいる従業員も多く、地域の継続なくして会社の存続はあり得ないからだ。香川県では、香川大学が中心となり、四国全体の地域継続計画(District Continuity Plan)の策定を進めている。個々の企業のBCPに、ビジネスの視点だけでなく地域継続という上位概念を植え込み、優先業務などの全体最適化を図っている。

自動車の部品の関連会社が集積する愛知県豊橋市の三河港では、津波のリスクにさらされる工業団地内の企業が結束して地域全体を守る取り組みに乗り出した。行政支援に頼るだけでなく、資源を持ち寄って巨大災害に備えるためだ。
日本の経済活動の中枢機能が集中する東京駅周辺でも、大手町、丸の内、有楽町地区にある企業が結束して、首都直下地震に備える。帰宅困難者の受入れや避難誘導など訓練を繰り返し、防災機能を強化している。

「地域貢献」という偽善活動をしているわけではない。災害時に、本来やるべきこと、できることをしなかったという悪評が起きれば、自分たちの利益を損なうことになり得る。

地域共生は、自社の利益を確保するための活動でもある。

地元住民1500人を受入れ
BCP+地域貢献の新たな道
株式会社大塚製薬工場

BCPの全体最適化
四国版「くしの歯作戦」に向け産官学連携
香川地域継続検討協議会

堤外地をBCP連携で守る
企業連携で地区を強靭化
愛知県三河港明海地区

多勢を無勢で迎え撃つ
60万人の帰宅困難者対策
東京駅周辺防災隣組

【地区防災計画の先進事例】
住民事業者が街を守る
住民主体で育てる地区防災
北海道石狩市