ワールド ファイアーファイターズ:世界の消防新事情
簡単で早く安全なドアの開け方
世界にはさまざまな消防ツールがある!
一般社団法人 日本防災教育訓練センター 代表理事/
一般社団法人 日本国際動物救命救急協会 代表理事
サニー カミヤ
サニー カミヤ
元福岡市消防局レスキュー隊小隊長。元国際緊急援助隊。元ニューヨーク州救急隊員。台風下の博多湾で起きた韓国籍貨物船事故で4名を救助し、内閣総理大臣表彰受賞。人命救助者数は1500名を超える。世田谷区防災士会理事。G4S 警備保障会社 セキュリティーコンサルタント、FCR株式会社 鉄道の人的災害対応顧問、株式会社レスキュープラス 上級災害対策指導官。防災コンサルタント、セミナー、講演会など日本全国で活躍中。特定非営利活動法人ジャパンハート国際緊急救援事業顧問、特定非営利活動法人ピースウィンズ合同レスキューチームアドバイザー。
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消火や逃げ遅れ者の人命救助、自殺者の救急対応、トイレなどの閉じ込めから救出のために屋内進入する場合、ドアなど開口部の鍵やガラスを破壊することがあると思います。
もちろん、大家さんや管理人が鍵を持っている場合はドアを破壊することもなく、火災室のドアを開けることもあるかもしれません。また、アメリカでは家人が留守の場合、玄関マットや郵便受け、鍵を隠しておくプラスチックの石などが玄関周りにあることが多いため、それらを探して鍵を見つけてドアを開けることもあります。
「いかに早くダメージを最小限にして、できるだけ簡単かつ安全にドアを開け、酸素流入やペットの飛び出しなどをコントロールすることができるか」で消防対応が変わってきます。
また、ドアによっても開け方が大きく変わります。昔から消防は、斧やバール、エンジンカッターやチェンソー、エアソー、油圧器具などで力任せにドアを破壊してきましたが、10年ほど前からドア全体の破壊よりもロックされている部分の開放を考えて行うようになってきました。
もちろん、今でもハリガンツールという破壊器具を使って、ドアを破壊する訓練は基礎訓練として行われており、消防士なら当たり前にできる技術です。道具の形状は違いますが、この手法は日本でも昔から教えられてきたと思います。
下記のビデオはハリガンツールによるドアの開放要領です。
Firefighter Forcible Entry Training with Mike Perrone (出典:Youtube)
現在では油圧シリンダーのラビットツールや、ドアストームと呼ばれる数秒で簡単にドアのロックとシリンダーロックなども破壊できる器具がポピュラーになってきました。この手動タイプと、電動ドリルにソケットをつけて使うタイプがあり、日本円で15万円ほどで販売されています。エンジンカッターなどで大がかりな作業をするよりはリスクが少なくて時間も早く、しかも、安いですよね。
Door Storm Forceable Entry Device (出典:Youtube)
また、室内ドアの構造は簡単なので、下記のようなツールでドアに傷をつけることもなく開放可能です。このツールは日本の消防署でも使っているところがあるようです。子供の閉じ込め事故や自殺者の部屋の閉じこもりなどで使えると思います。
The Shove Knife (出典:Youtube)
カードタイプの方が携帯しやすく簡単に使えそうですね。チタン製なので強くて軽く、消防隊員の個人装備として持っている人も多いようです。
Sparrows Lock Picks Hall Pass bypass tool (出典:Youtube)
下記は海外出張者用の緊急事態対応グッズとして、アジア、中東、南米などで拉致や人質に会うケース、軟禁されたときの脱出ツールとして役立ちそうですね。ロックの解除法は簡単な練習で誰でもできるようになります。
(912) Review: Sparrows Chaos Survival Card (出典:Youtube)
いかがでしたか?
今回ご紹介したドア開放ツールの中でも「DoorStorm」は、木製、鉄製、アルミ製などに関係なく、ほとんどのドアロックを数秒で簡単に開けることができますので、日本の消防現場、犯罪現場などで活躍すると思います。
DoorStromの詳細はこちらから。
http://doorstorm.com
同社の商品の動画はこちらからご覧になれます。
https://www.youtube.com/channel/UCNHqNrN84xbQ--XNXbVeetA
世界にはさまざまな消防ツールがあります。日本の住宅や建物事情でどの消防ツールや訓練方法が役立ち、どの方法が改善して採用できるか等、YouTubeを見ながら考えるだけでも楽しいですよね。
それでは、また。
(了)
一般社団法人 日本防災教育訓練センター
http://irescue.jp
info@irescue.jp
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