日本IBMは12日、災害時などにダウンしたシステムを自動復旧させるソリューション「IBM レジリエンシー・オーケストレーション」を発表した。ライセンス価格は保護対象とする仮想マシン1台につき12万3800円~(税抜き)。11月1日から提供開始する。

「IBM レジリエンシー・オーケストレーション」の概要と特徴

IBM レジリエンシー・オーケストレーションは、個々のシステム単位で本番環境から復旧環境へ切り替える従来の方法ではなく、業務単位でシステム復旧を捉えてシステム復旧の手順を標準化し、人を介することなく自動化にてシステム復旧をうことができるソリューション。

「ドライ・ラン」と呼ばれる本番環境と並行してシステムを検証できる機能を搭載したほか、ダッシュボードではRPO(目標復旧時点)、RTO(目標復旧時間)、データ同期状況を可視化。リカバリー対応状況を分かりやすく把握できるようにした。

クライアント側は、すでに構築済みのシステム復旧の仕組みを生かすことができるため、コストを抑えた対策が可能だ。

発表会に登壇した同社グローバル・テクノロジー・サービス事業部レジリエンシー・サービス事業部長の高瀬正子氏は「災害時のシステム復旧について「復旧のリハーサルが十分にできない」「手順が属人化し、対応要員も不足している」など、顧客からさまざまな課題が上がっていた。今回のソリューションでは、それらの課題の解決のためにシステム復旧を含めた自動化を可能にした」と自信をのぞかせる。

同社グローバル・テクノロジー・サービス事業部レジリエンシー・サービス事業部長の高瀬正子氏

提供方法はクライアント側で導入・運営するソフトウェア、クラウド型マネージドサービス、IBMアウトソーシングの一部として利用するという3つの方式から選択できる。

「ドライ・ラン」機能で毎日でもリハーサルが可能に

IBMレジリエンシー・オーケストレーションの主な機能はRPO、RTOやシステムごとの対策状況が可視化された「ダッシュボード」、実績のあるワークフローを活用した「ワークフロー」、本番環境と並行した検証機能「ドライ・ラン」、そしてそれらの実行結果が自動記録される「レポーティング」の4つだ。

同社グローバル・テクノロジー・サービス事業部レジリエンシー・サービス事業部コンサルティング&ソリューション企画の内山豊和氏

同社レジリエンシー・サービス事業部の内山豊和氏によると、特に「ドライ・ラン」機能に関しては、個別の段階で対応するものは存在するが、今回のような統合されたソリューションのなかで展開するのは非常に珍しいとのこと。もともと「ドライ・ラン」とは、消防における用語の1つで水を使わない消火訓練を指す。

高瀬氏は「これまでの企業システムでは、しばしば開発者と運用者の間で情報連携ができていないことがあり、開発側の変更が運用者に伝わらず、復旧シミュレーションが失敗することも多かった。ドライラン機能を使えば、毎日提示にリハーサルを行うことができ、復旧手順を確認することもできる」と話す。

本番環境に影響を及ぼすことなく、復旧作業をシミュレーションできる「ドライ・ラン」。

これまでは、復旧対策はシステムごとに管理方法が異なるため、リハーサルするにもための事前準備も日程が合わなかったり、対応要員が不足していたりと課題が多く、年に一度開催するのも非常に難しいこともあるという。同氏は「オーケストレーションの自動復旧化の技術であれば、リカバリーの時間は50%、リハーサル時間は80%、レポート作成は95%削減でき、リカバリ―要員も5~10倍効率化できる」としている。

■ニュースリリースはこちら
システム復旧の自動化ソリューション 「IBM レジリエンシー・オーケストレーション」
http://www-03.ibm.com/press/jp/ja/pressrelease/53287.wss#release

(了)