土石流被災家屋保存公園(写真:写真AC)

秋になり台風シーズン到来となりました。台風そのものはもちろん、秋雨前線が発生しているときに台風が日本付近にやって来ると、災害につながるほどの大雨や集中豪雨となることがあります。また、今年は残暑が厳しいこともあり、秋になっても局地的な大雨の発生する可能性があります。秋も引き続き水害への備えが重要な時期です。今回は、雨の量が多くなると特に注意や警戒が必要な「土砂災害」について見ていきたいと思います。

1.土砂災害について

●土砂災害とは

土砂災害は台風等の大雨や集中豪雨、地震が引き金となることが多く、突発的に大きな破壊力を持って発生します。傾斜が急な山が多い日本は、土砂災害が発生しやすい環境にあります。突発的に発生する土砂災害は、正確に予測することが難しい災害です。非常時に備えて日頃から準備することが大切です。土砂災害は、土石流、がけ崩れ(急傾斜地の崩壊)、地すべりの3種類に分類されています。

 

土石流
・山腹や川底の石、土砂が長雨や集中豪雨などの影響によって、一気に下流へと押し流される現象です。
・規模によって異なりますが、時速20~40kmという速度で、破壊力がとても大きいです。

 

 

がけ崩れ
・急な斜面が雨水の浸透や地震などの影響によって、突然崩れ落ちる現象です。
・突然発生し、かつ崩れるスピードが速いです。
・崩れた土砂は、斜面の高さの2~3倍も離れた距離まで届くことがあります。

 

 

地すべり
・比較的緩やかな斜面が地下水などの影響によって、斜面下方へ移動する現象です。
・斜面の表面部分だけが崩れ落ちる現象を表層崩壊といい、表面部分だけでなく深層の地盤までもが崩れ落ちる現象を深層崩壊といいます。
・大雨や融雪時に発生しやすく、一度に広範囲が動くため、大きな被害を及ぼします。

●自宅の土砂災害への危険度を知る

土砂災害の危険がある地区には「土砂災害危険箇所」として「土石流危険渓流」「急傾斜地崩壊箇所(がけ崩れ危険箇所)」「地すべり危険箇所」の3つの危険箇所が指定されています。

また「土砂災害警戒区域」や「土砂災害特別警戒区域」は、土砂災害による被害を防止するため、警戒避難体制を整備すべき土地等として土砂災害防止法に基づき指定された区域のことです。「土砂災害危険箇所」とは違い、調査を実施した後、必要に応じて住民説明会等を経てから指定されます。

これらの地区は土砂災害への危険が高い場所ですので、雨のときはこまめに情報を確認して、大雨になったらすぐに避難するなど、他の地区より注意が必要です。土砂災害ハザードマップを確認しておきましょう。