40℃超えが常態化すれば事業活動に大ダメージ
第3回:熱波対策は喫緊のBCP的課題
BCP策定/気候リスク管理アドバイザー、 文筆家
昆 正和
昆 正和
企業のBCP策定/気候リスク対応と対策に関するアドバイス、講演・執筆活動に従事。日本リスクコミュニケーション協会理事。著書に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP 』(日刊工業新聞社)、『リーダーのためのレジリエンス11の鉄則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身 (ヤマケイ新書)』(山と渓谷社)など全14冊。趣味は登山と読書。・[筆者のnote] https://note.com/b76rmxiicg/・[連絡先] https://ssl.form-mailer.jp/fms/a74afc5f726983 (フォームメーラー)
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■世界は確実に熱くなっている
温暖化が進行している現在、熱波が世界を覆いつつあることは周知の事実です。インドや中東(イラクやパキスタン)などには、夏季に連日50℃を超える熱波に襲われている地域もあります。地形的な影響もあるのでしょうが、温暖化がそれに拍車をかけていることは間違いありません。
先進国ではどうでしょうか。顕著な例を挙げると、フランスでは2003年に20日間続いた熱波で1万5000人以上の死者を、2019年にはパリで42.6℃、南部の町で46℃を記録し多数の死者を出しました。
2019年の熱波はフランスに限ったことではなく、ドイツやベルギーその他の国々も記録的な高温となっています。その前年(2018年)には欧州最大の商用河川でもあるライン川が夏の干ばつで干上がり、輸送船舶の航行を停止する事態となりました。
オーストラリアのシドニーでは2018年に47.3℃、2019年12月には南部のナラボーで49.9℃を記録。極度の高温と乾燥化により、オーストラリアの沿岸部全域が大規模な山火事に見舞われました。これによりコアラやカンガルーなど30億匹以上の野生動物が犠牲となり、広範囲に発生した大火災の煙で数百万人が深刻な呼吸器系疾患に陥ったと伝えられています。
また、同国南東部のワイン生産地方では、近年の長引く干ばつにより、ぶどうの生産が30~50パーセント落ち込んで経済が大きなダメージを受けました。米カリフォルニア州のセントラルヴァレーは、米国の食糧生産の4分の1を占める地域ですが、2010年以降、何年にもわたって歴史上例を見ない大干ばつに襲われました。
今年の傾向(2020年7~年8月)はと言えば、どの地域も温暖化の進行を否定するような事実はもはや見当たりません。極地やグリーランドの氷は依然として記録的な速さで融解が進んでいます。北極圏のシベリアでは38℃の記録的な高温、そしてヨーロッパ各地の猛暑(フランスの首都パリで40℃、スペインの11都市で40℃超)…。
こうした記事はいくら集めてもきりがないくらいに、どの地域も気温の上昇が常態化しつつあるのです。
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