慢性リスクへの対処はどのように考えればよいのか(写真:写真AC)

■慢性リスクの種類と特徴

今回は「慢性リスク」のERP(緊急対応プラン)について考えてみます。慢性リスクとは、海水面の上昇や熱波・干ばつの原因となる気候や降雨パターン、長期的変化による事業継続あるいは存続上の問題を指します。

気候変動は極端現象を引き起こします。一例をあげれば2000年以降、気候変動による断続的な熱波と干ばつにより、米コロラド川の水量が減少し、その傾向はさらに速まっています。この歴史上例のない出来事は、米国西部の都市(ロサンゼルスやサンディエゴ、フェニックス、デンバー、ソルトレイクシティ等多数の都市)の水供給を脅かしていると言われています。

日本でも干ばつのリスクが(写真:写真AC)

こうした極端事象としての干ばつは、水資源依存度の高い日本も例外ではありません。北関東から新潟国境の山々が気候変動の影響(山々の降雪や残雪、降雨が極端に少ない)を受けた場合、東京圏をはじめ関東各県の飲料水や工場用水、農業用水の供給量が減少して多大な影響を受けるでしょう。

栃木・足利の山火事は記憶に新しい。写真はイメージ(写真:写真AC)

干ばつと言えば、森林火災の危険も例外ではありません。日本の各地にはこれまでの無計画な住宅開発の結果として、山麓や里山のどん詰まりまで新興住宅が密集している場所が無数にあります。今後もし日本の乾燥化が進めば、フェーン現象と相まって米国やオーストラリアのような大規模な山火事だって発生しかねません。

海外の場合は道路幅も一軒一軒の敷地面積も広く、傾斜が緩やかでゆったりとしたつくりになっています。一方日本の場合は、山手に入れば入るほど道路の幅が狭く急坂が多くなります。もし手のつけられないような大森林火災が起きたら、消防車などは立ち入りできず、広大な面積の山林や住宅を焼失し、多数の犠牲者が出る恐れがあります。