3つの事例から考える記者会見の開催基準
第17回目 会見開催の要否はケースごとに異なる判断
日本リスクマネジャ-&コンサルタント協会副理事長/社会構想大学院大学コミュニケーションデザイン研究科教授/
広報コンサルタント
石川 慶子
石川 慶子
東京都生まれ。東京女子大学卒。参議院事務局勤務後、1987年より映像制作プロダクションにて、劇場映画やテレビ番組の制作に携わる。1995年から広報PR会社。2003年有限会社シンを設立。危機管理に強い広報プロフェッショナルとして活動開始。企業・官公庁・非営利団体に対し、平時・緊急時の戦略的広報の立案やメディアトレーニング、危機管理マニュアル作成、広報人材育成、外見リスクマネジメント等のコンサルティングを提供。講演活動やマスメディアでのコメント多数。国交省整備局幹部研修、警察監察官研修10年以上実施。広報リスクマネジメント研究会主宰。2024年より社会構想大学院大学コミュニケーションデザイン研究科教授。
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「記者会見開催の基準がわからない」といった質問をよく受けます。今回は、どのような時に記者会見を開くのか、基本の考え方と最近の事例から考えます。検察庁の黒川前検事長、サービスデザイン推進協議会&電通、手越祐也さんを取り上げましょう。
影響の大きさから判断する
危機時における記者会見開催基準について教科書的な回答をすると、企業の評判が落ちて存続が危ぶまれる時には開催するべき、となります。一般的には命に関わる場合、被害が拡大する懸念がある場合などです。
具体的には、工場爆発事故、集団食中毒などが典型的です。会計不正などの違法行為、トップの逮捕といった事件化すると批判の声が多くなる場合も、開催しなければならないでしょう。その他、根も葉もない噂や風評被害、誤報により売上や株価が下がってしまった場合にも「信頼回復」のために開催します。
どの組織もできれば記者会見はしたくないわけですから、記者会見しなくても済むような迅速なコメント発表はいかなる場合でも必要です。お詫びのコメントだけにするか、記者会見にするかの判断は、社会への影響の大きさか、事業への影響から判断することになります。
この記者会見開催については、自社のリスクを洗い出し、避けられないクライシスのレベル分けを行った上で、具体的なストーリーを考えてあらかじめ基準を決めておくとよいでしょう。食中毒であっても1人と100人では異なりますし、被害拡大の予想からも考える必要があります。不正についてもトップの横領と社員の横領ではレベルが異なりますし、金額にもよります。
業種によっても重さは異なります。メーカー社員の横領と銀行員の横領では重さが異なるということです。さらにマニュアルで想定されていない事態が発生した場合に備え、どのように開催の要否を決めるかについても、基準を作成しておくと決めやすいでしょう。
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