テロに遭遇したら

外務省では全世界のニュースをモニタリングしています。24時間体制で大きなテロ事件や事故、または邦人被害の事件が発生したというようなニュースをモニタリングし、また、各国の大使館・総領事館が事実確認を行って,情報共有を行っているものです。

大きな事件があれば、初動の段階で外務省と官邸を含めた関係者との間で情報を共有しています。そして、1時間以内に在留届と「たびレジ」登録者のメールアドレスに事件発生の事実と注意喚起のメールを発信できるように努めています。このように、在留届、または「たびレジ」の登録をすると、いち早く情報入手できるのです。

主なテロとしては,爆発テロと襲撃テロの二つが挙げられます。爆破テロの場合は、1回目の爆発で人を集め、2回目には、より強力な爆発で多くの被害者を生じさせることもありますので注意が必要です。2回目の爆発は1回目の10~15分後に発生することが多いです。救援隊や警察、マスコミ等、より多くの人が現場に集まってきたタイミングを狙った犯行ですので、1回目の爆発があった場合には,いち早くそこの場所から立ち去ることが一番重要です。

襲撃テロの場合には、テロリストは自動小銃を持って中に入り込みます。現場に治安部隊が到着するのが平均15分間です。従って、襲撃があってから15分間、自分の命を守ることができるかどうか、これが生命のおそらくボーダーラインとなると思います。テロに遭遇するリスクを下げる方法としては、例えば、レストランでは、なるべく2階以上のレストランを使用します。2階まで上がって襲撃するのでは時間がかかりますので、1階部分で殺害が行われるケースが多い。ですから,2階以上にした方がよいというものです。

また、レストランの席のとり方です。一番奥の席に出入口に向かって座ります。なぜかといいますと、通常、テロの襲撃というのは、出入口から入り込みます。それをいち早く、0.1秒でも早く察知することができれば伏せることができるからです。反対に、出入口に背を向けて座っていますとテロリストが入ってきたことがわからないので避けるべきです。

その他にも、退避ルートを予め把握することが重要です。さらには、銃撃から身を守る、遮断するようなものや隠れる場所が近くにあるかどうか確かめることが重要です。

イスラム過激派の行動を見ていますと,欧米人がよく使うレストランを狙っていることが分かります。金曜礼拝の時間帯は注意が必要です。集団礼拝のある金曜日に外で遊んでいる方は異教徒であるとして,ターゲットになりやすいのです。また、独立記念日など多くの人が集まるような日も注意が必要です。

最後に、海外の安全情報の入手方法として「海外安全アプリ」を紹介いたします。2015年7月に導入されたもので,スマートフォンにインストールしますと,全世界の海外安全情報を見ることができます。更に,現地の緊急連絡先,在外公館の電場番号も掲載されており、非常に便利な機能となっておりますので是非とも利用なさってください。
(本記事は2月21日に当サイトが開催した海外リスクセミナーでの講演をもとに掲載したものであり、必ずしも外務省の公式見解でない場合もあります)

(了)