新型インフルが世界的流行(写真:AP/アフロ)

※本原稿は1月21日時点で作成。

□事例:感染症から社員を守る

2019年12月12日、中国の武漢で肺炎による患者の発症が報告されました。当初、この肺炎は原因不明とされていましたが、2020年1月11日に武漢市は「新型コロナウイルス」による肺炎と発表しました。

国営新華社通信などによると、新型コロナウイルスの肺炎は1月21日時点で武漢市の198人に加えて、北京市で5人、広東省で14人、上海市で2人の発症が確認されており、中国全体で計219人にのぼっています。また、中国以外でも、タイや韓国での発症が確認されたほか、日本国内でも1月16日、武漢に渡航歴のあった男性1名の感染が報告されました。タイ、韓国、日本など中国国外での感染者は全て武漢への渡航歴を持った人たちであったため、武漢市の衛生当局はこれまで「人から人への感染は排除できないが、そのリスクは比較的低い」と説明していました。しかしながら、20日未明に、中国政府の感染症研究の専門家チームが「人から人に感染していることは間違いない」と明言。WHO(世界保健機関)は、この新型肺炎が、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に相当するかどうかを検討するための緊急会合を開くことを決定しました。

中国国内では、この肺炎によって4名の死亡が報告されています。感染者の致死率だけを見れば、2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の9.4%(出所:国立感染症研究所)や、2012年に報告されたMERS(中東呼吸器症候群)の35%(出所:厚生労働省検疫所)からみれば低いものの、今月25日から中国では春節(旧正月)を迎えるため、期間の前後40日間で、帰省や旅行などで延べ約30億人が移動する見通しがあり、その間の人の往来が活発になることから「発症者はさらに増えるだろう」とみられています。

某社のリスク担当部門のAさんは、「2009年に国内で起こった新型インフルエンザの流行の際も対応に苦慮した。あの時は、結果的に「弱毒性」インフルエンザであったため、大きな騒ぎにはなったものの、実質的な被害はそう大きくなかった。しかし、本当に注意しなければならないのは、鳥インフルエンザのウイルスが「変異」して、人から人へ感染するようになった場合で、その時の致死率は想像を超えるものだと言われている。それ以外でも、当社は海外への出張も多く、今回の新型肺炎をはじめとする世界的に流行する可能性のある感染症から社員を守る必要がある。でも一体、どのような点に注意すればいいのか?」と悩んでいます。