ロックフェラー財団100RCに見る街づくりのポイント
自助と共助の観点に根差したレジリエント戦略
第7回:富山市
国際大学GLOCOM/
主任研究員・准教授、レジリエントシティ研究ラボ代表
櫻井 美穂子
櫻井 美穂子
ノルウェーにあるUniversity of AgderのDepartment of Information Systems准教授を経て2018年より現職。博士(政策・メディア)。ノルウェーにてヨーロッパ7か国が参加するEU Horizon2020「Smart Mature Resilience」に参画。専門分野は経営情報システム学。特に基礎自治体および地域コミュニティにおけるICT利活用について、レジリエンスをキーワードとして、情報システム学の観点から研究を行っている。Hawaii International Conference on System Sciences (2016)およびITU Kaleidoscope academic conference (2013)にて最優秀論文賞受賞。
櫻井 美穂子 の記事をもっとみる >
X閉じる
この機能はリスク対策.PRO限定です。
- クリップ記事やフォロー連載は、マイページでチェック!
- あなただけのマイページが作れます。
日本が誇るレジリエントシティ
年内最後となる今回は、日本の都市を取り上げたいと思います。富山市は、ロックフェラー財団の100RCプログラムが始まった当初から、レジリエントシティとして選ばれていました。1242平方キロメートルの面積に42万人が住んでいます。土地の70%が森や耕作放棄地となっています。伝統的な産業としては薬や情報技術、銀行などがあり、近年はロボティクス産業も盛んになっています。女性の就業率が高い都市としても有名です。
富山市が抱えるチャレンジ
富山市では、主なショック要因(短期的課題)およびストレス要因(長期的課題)として、次の点を挙げています。
【ショック要因】
・洪水
・土砂災害
・地震
・潜在的なインフラ機能の喪失
【ストレス要因】
・高齢化と人口減少
・インフラの老朽化
・経済活動におけるレジリエンスの欠如
・気候変動など環境状況の変化
・市民の“自助力”
富山市ではこれまで、2007年にコンパクトシティ戦略を打ち出して特に市中心部の公共交通機関のテコ入れを図ってきました。公共交通機関を使うことで主要な市の施設にアクセスしやすい環境を整えてきた経緯があります。
洪水対策については、2011年の東日本大震災を契機として、災害時の共助の取り組みをリードする町内会の育成に力を入れてきました。結果として385の町内会のトレーニングを行いました。加えて、自助意識を高めるための防災レクチャーや防災訓練を継続的に行っています。
このような流れをくむ富山市のレジリエント戦略では、住民、環境、インフラストラクチャー、繁栄、の4つのビジョンを掲げました。
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方