季節性インフル、すでに流行

本冬のインフルエンザ流行は例年に比べ、スタートが早まっていると報道されています。確かに日による寒暖の差が大きくなっており、体調の維持が難しくなっています。インフルエンザワクチン接種、衣服の調整、マスクの着用、せっけんを使っての念入りな手洗い、うがいなどさまざまなインフルエンザ対策が必要になっています。これらは、いずれも大変重要で、効果的な対策です。

その中で、常時気をつけておきたい、特に重要性の高いと思われる対策を挙げたく思います。それは、可能な限り「寒冷ストレス」を受けないように、私たち一人一人が日々十分な対策を講ずることです。寒冷ストレスとは、準備のできていない状態で予想以上の寒さに突然遭遇したために、免疫機能が大きく落ちてしまい、インフルエンザウイルス感染などに対する防御能が大きく落ち込んでしまう状態です。

寒冷ストレスのかかっていない、正常な体調の場合には、インフルエンザウイルスが呼吸器粘膜細胞上に付着しても、呼吸器の強力な免疫力でウイルスの体内侵入をブロックして、発病までに至らずに済ませることがある程度期待できます。また、呼吸器粘膜細胞内へのウイルス侵入を許した場合でも、ワクチン接種により得られた力価の高い血中抗体(液性免疫)の働きで、体内でのウイルス増殖を抑制して、重症化を防ぐことが期待されます。

しかし、寒冷ストレスのかかっている場合は、細胞性免疫力が落ち、血中抗体の十分な作用も期待できず、そのため発病率が上がり、重症化する場合が多くなることが心配されます。特に、免疫力の衰えている高齢者の方々に寒冷ストレスがかかることは大変危険です。インフルエンザワクチンの接種を受けていても、高齢者の場合、思ったほど血中抗体価が上がらない場合のあることも考えておく必要があります。

次回は、考えられる新型インフルエンザウイルスの出現地域や予防について解説する予定です。

(了)