近年、世界的に大規模な洪水や地震、竜巻などが連続して発生し、人間はもちろんペットや家畜、野生動物、動物園の管理動物なども被災。それらの動物の救助対応を消防が中心となって行っています。

大規模災害時でなくても、例えば高速道路で馬を輸送中のトラックが横転してハンドラーであるドライバーが意識不明の場合などでは、現場に駆けつけた消防士や道路公団職員が複数の馬、豚、牛が高速道路上で逸走しないように、さらに走行中の車と衝突して大事故にならないように、2次災害を予防する必要があると思います。

今回は、ペットよりも大きな動物たちのレスキュー方法をご紹介いたします。

転倒した馬のコントロールの方法

次の動画では、馬の頸椎(けいつい)部分を膝で体重をかけて押さえて頭突きされないようにするほか、救助者は胸を張った状態でマズル(口輪)を片手で押さえることなど、まずは救助者の身の安全を教えています。とてもわかりやすいですよね。


「Managing the head of a prone horse」(出典:Youtube)

現在イギリス消防長会では、本格的な消防士のためのアニマルレスキュートレーニングプログラムの会合が開かれています。この場合のアニマルとは、犬や猫に限らず、馬や牛、羊や山羊などの家畜、そして動物園で管理されている動物が逸走して事故に遭ったり、または、土砂に埋まったり洪水で流された場合のレスキューなども含まれています。

■アニマルレスキューのトレーニング概要
https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/86277/Appendix_F_Animal_Rescue_Practitioners_Forum_leaflet.pdf

現時点で決まっているトレーニングコースは下記の3つです。

AR1  - アニマルレスキュー1
救助者として、アニマルレスキュー事件へ出動し、現場対応するかもしれない消防士や獣医に適した内容。

AR2  - アニマルレスキューレスポンダー
動物の救助を行うことが期待されるチームの一員になるためのものであり、技術だけでなく、さまざまな動物の取り扱いを教えます。

AR3  - アニマルレスキューインストラクター/スペシャリスト
クレーンやリフト、他機関との合同レスキューを行うなど、高度な動物の救助の技術を教えているコース。


上記は日本の消防士も受けることができますので、もし、管轄内に牧場や家畜関係の施設がある場合は、役に立つと思います。