2019/10/07
日本企業が失敗する新チャイナ・リスク
■ 役所の窓口では制服着用が多くなったが…
日本では役人は制服を着用するのが一般的だと思います。最近は、中国でも警察(公安)や市役所などの受付業務を担当する役人は制服を着ることが増えてきたようです。しかし、それはまだまだ沿岸地域の大都市部でのこと。いまだ地方都市に行けば、誰が役人か分からないということもよくあることです。
そのような状況下、やはりここでもそれをいいことにいろんな詐欺行為をする輩たちがいます。例えば、消防局から役人が「工場の消防対策の完備状況」を査察に来たとしましょう。だいたい彼らは3~4人のチームで来るのですが、皆の服装はまちまちであることが多く、濃い色のジャンパーにスラックスという出で立ちが一般的です。
そんな彼らが「今日は現場視察に来た。調査するから担当者を出せ」と言ってきました。日本人駐在員にはどこから来た誰なのかなど見当もつかないことでしょう。仕方なく、担当を呼びつけると「はい、彼は『どこどこ局』の誰々さんです。知っています」と言います。日本人責任者は、それを鵜呑みにすることは間違いありません。担当者も気さくに挨拶しつつ、現場視察を手伝いながら工場内を見て回るというような事になるはずです。中国工場あるあると言っても良い状況ですね。
しかし、視察が終わるとその「どこどこ局」の役人は、日本人責任者に対して次のようなことを言うのです。「御社工場を見て回ったが、消防施設に問題がある。最近の法律の改定で御社工場にはスプリンクラーの増設と、火災検知器の設置が必要となります。従って、早急に改善するように。ついては、この地域の公認指定業者を紹介するからすぐに見積もりを取って進めるように」。
事情が分からない日本人責任者としては、はたしてそれが本当に必要なことなのか、どのくらいの経費がかかるのか、設置にかかる時間は? などなど頭をめぐること必至です。
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