2019/09/12
昆正和のBCP研究室
■過去の災害記録や社会通念上のリスク
一方、過去に自社で起こった災害体験がないかどうかを洗い出してみることも大切である。会社で過去に起こったインシデントやアクシデントの記録はないかチェックしてみよう。あるいは機会をとらえて社長や先輩社員たちにヒアリングすることで発見できるかもしれない。大地震や洪水といった顕著な災害ではなくとも、ボヤ騒ぎや停電、倉庫の荷崩れ、従業員のケガなど比較的小さな出来事なら洗い出せることも。もしかするとそれらは今後起こり得る大きな災害の火種であるかもしれないのだ。
もう一つの社会通念上のリスクは、自分の会社でその災害を経験していなくても、社会通念上大いに警戒しなければならないリスクである。これまで述べてきたリスクとも重複するが、地震、火災、豪雨災害はもとより、パンデミック、テロ攻撃、サイバー攻撃、火山噴火、米国などでは大規模な山火事やトルネードなども広く脅威の対象となっている。
以上3つはあくまで災害リスクを選ぶ目安なので、時間と労力をかけて念入りかつ厳密に調べる必要はない。大局的に把握できればよいのである。これらの方法を通じて多角的に災害リスクを検討することにより、「うちの会社の建物は地震に耐えられるから大丈夫」といった短絡的な判断はできなくなるだろう。津波や液状化、土砂崩れ、道路の寸断による孤立化などのリスクが隠れていることもあるからだ。
(了)
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