2016/08/05
ニュースリリース
騒乱や労働争議
リオの開会式はデモに見舞われるかもしれません。職務停止中の大統領ジルマ・ルセフの支持者や反支持者、オリンピック反対運動家などからなるデモです。7月31日には、約4000人がコパカバーナビーチに集まり、ルセフ大統領の永久的追放を求めました。数週間以内にルセフ大統領の罷免が決定されるので、それまでの間、大統領関連のデモがもっと発生するでしょう。
「TheExclusionGames」の旗の下で活動する社会運動は、オリンピックへの支出が引き起こした社会経済上の不正義を訴えて8月5日にリオ市内の多くの地域で大規模なデモを計画しています。オリンピックへの支出のため、政府は公務員向け資金を大幅に引き下げました。オリンピックに至るまでの数か月から数週間にわたって、医療従事者、教師、警察までも多数のデモを繰り返しました。8月1日から、「TheExclusionGames」運動は、リオのダウンタウンでの行進に続く一連の抗議活動を開始しています。
8月1日:「尊厳の通夜」がCinelandiaで開催
8月2-4日:抗議のイベントが、リオ連邦大学の哲学社会科学研究所で開催
8月5日:大規模な動員が、マラカナ(Maracana)スタジアム近くの、Tujucaのプラカサーンスペナ(PracaSaensPena)で開催
テロ
リオでのテロの脅威は、歴史的に「無視できる」状態でしたが、欧州での最近のテロの急増を考慮すると、テロの脅威に対しより深い洞察を要するようになったといえます。
7月21日、治安担当者は、テロを企てた容疑で12名を逮捕しました。彼らは、複数のオンラインフォーラムで、イスラム国への共感を煽る、ゆるやかに組織化されたグループの構成員たちでした。サンパウロでは、ヒズボラの元メンバーだったレバノン人を拘束されました。彼は、テロ関連者ということでなく、麻薬密売の罪で、2013年以来、インターポールの指名手配されていました。
ブラジルの情報機関は、具体的な標的の名と方法までを記載し、オリンピックの期間中のテロ攻撃を呼びかけるメッセージを、メッセージアプリの「テレグラム(Telegram)」の書き込みした者がいることを発表しました。
ブラジルはテロ対策の取組みを強化するために、多数の外国の情報機関と協力していますが、最大のチャレンジは、情報網に捉えられないローンウルフ型のテロの検知および防止といえます。
警察
リオの警察の腐敗は相当なものです。悪徳警官は、嘘の罪や一見して無意味な違反で逮捕するのを見逃すためと言って「cervejinha‘(チップ’)」を要求します。ポイ捨ては違法であり、その場で罰金を払うことになりますが、悪徳警官の標的となる可能性があります。しかしどんな場合でも、警官への賄賂は止めましょう。そのような行為は禁固刑を伴う深刻な犯罪とみなされる可能性があります。
多くの警察官は旅行者を助けようとしますが、ほとんどの者が外国語を話せません。
警察の助けが必要なときには、DEAT(DelegaciaEspecialdeApoioaoTurismo)と呼ばれるツーリスト向けの警察官に連絡を取ることをお勧めします。
DEATとの連絡を取るには、アフラニオ・デ・メロフランコ通り(AfraniodeMeloFrancoAvenue)、#159にあるレブロン(Leblon)のメインオフィスに行くか、2332-2924、2332-2885/2889に電話をかけてください。
伝染病
国連の専門組織である世界保健機関(WHO)が、ラテンアメリカでの公衆衛生上の緊急事態を宣言した2016年初頭以降、ジカ・ウィルスは世界の悪評を獲得し、多くの報告なされていきました。実際の流行は2015年4月に始まりましたが、当時は、ギラン・バレー症候群を含む先天性欠損症や神経障害を引き起こす病気の証が山ほど出ており、それらがリオ・オリンピックにとっての主要な関心事でした。
イェール大学公衆衛生大学院(YSPH)の新しい研究では、リオ・デ・ジャネイロ市での海外旅行者へのジカ熱の発症リスクは「低い」または「無視できる」というものでした。50万人もの外国人観光客を迎える市では、この研究に従い、最悪のシナリオでもオリンピックとパラリンピックの期間中、罹患する確率は6,200人分の1人から56,300人分の1人と想定しています。YSPHは、6人から80人程度は陽性反応が出ると考え、彼らの内、約50%が感染して母国に戻るだろうと想定しています。これは、3から37人にあたります。エールの研究者は、この数字では、他国で感染が広がるためには少な過ぎると言っています。
それでも、妊娠中か妊娠を確信している女性が、十分な注意を払うべき、さらには渡航延期を検討すべき正当な理由があります。WHOも妊娠中の女性に旅行を控えるよう勧めています。ブラジル当局は今年度登録の10万の症例の内、約7,000件が妊娠中の女性の感染でした。2015年の流行以来、約5,000件のジカ熱感染例が先天性欠損症と関連しています。
6月、WHOはジカ熱の感染状況は「リスクとしては非常に低い」と述べ、オリンピック期間中のブラジルの状況は「管理可能」であると述べました。蚊の活動が弱まる冬の到来を迎え、確かに発症例は減少しています。さらに、ブラジル政府とWHOは、罹患のリスクを軽減するために有益なアドバイスを提供しながら、国民向けの意識向上キャンペーンを継続しています。
旅行者は、蚊を媒介とする疾患としてより一般的な疾患、とりわけ、ジカ熱以上に発症の可能性が高いマラリア、黄熱病、チクングニヤ熱、デング熱にも注意する必要があります。
鉤虫、ハエ、ノミの蔓延による健康被害が、マラリアやデング熱による急性下痢に次いで、ブラジルへの渡航者から多く報告されています。また、疾病管理予防センター(CDC)は、住血吸虫症の罹患を避けるために、淡水湖で水泳を控えるよう、旅行者に注意喚起を発しています。
ニュースリリースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
-
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方