「法的に問題ない」「仕方がない」「大したことない」
第7回 危機時のNGワード
日本リスクマネジャ-&コンサルタント協会副理事長/社会構想大学院大学コミュニケーションデザイン研究科教授/
広報コンサルタント
石川 慶子
石川 慶子
東京都生まれ。東京女子大学卒。参議院事務局勤務後、1987年より映像制作プロダクションにて、劇場映画やテレビ番組の制作に携わる。1995年から広報PR会社。2003年有限会社シンを設立。危機管理に強い広報プロフェッショナルとして活動開始。企業・官公庁・非営利団体に対し、平時・緊急時の戦略的広報の立案やメディアトレーニング、危機管理マニュアル作成、広報人材育成、外見リスクマネジメント等のコンサルティングを提供。講演活動やマスメディアでのコメント多数。国交省整備局幹部研修、警察監察官研修10年以上実施。広報リスクマネジメント研究会主宰。2024年より社会構想大学院大学コミュニケーションデザイン研究科教授。
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平時では聞き流される言葉でも危機時には誤解を生む、批判の対象となる危険性のある言葉を「危機時のNGワード」と定義しています。本コラム読者の方から「NGワードを解説してほしい」という要望もありましたし、頻繁に質問もされるので今回はこのNGワードについて解説します。
事態を軽視する言葉はNG
NGワードは人によって異なりますし、言い方によってNGワードになるなど結構複雑です。ただし、ある種の傾向があることは確かです。
私がNGワードとしている言葉は15以上ありますが、今回はその中から代表的な言葉「法的に問題ない」「仕方がない」「大したことない」について考えましょう。いずれも事態を軽視する言葉であることが共通します。
記者会見は法廷ではない
まず、「法的に問題ない」について考えてみましょう。なぜNGワードなのかさっぱり分からない、と思った方も多いでしょう。理由は「法的に問題ないのだから自分たちは悪くない」と開き直っているように見えるからです。記者からすると法律を守るのは当たり前。法的責任ではなく「社会的責任をどう考えるのか」が問われているときに「法的に問題ない」と言い切ってしまう姿勢が問題なのです。最近、育休取得後の異動命令は違法ではない、と主張した企業姿勢が話題となりました。
裁判になれば違法かどうかが争われますが、記者会見は法廷ではありません。相手にするのは記者とその背後にいる人々。向き合うのは法律ではなく人々の倫理観。法的観点からではなく、企業姿勢が問われている場面では避けた方がよいでしょう。
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