平時では聞き流される言葉でも危機時には誤解を生む、批判の対象となる危険性のある言葉を「危機時のNGワード」と定義しています。本コラム読者の方から「NGワードを解説してほしい」という要望もありましたし、頻繁に質問もされるので今回はこのNGワードについて解説します。

 

事態を軽視する言葉はNG

NGワードは人によって異なりますし、言い方によってNGワードになるなど結構複雑です。ただし、ある種の傾向があることは確かです。

私がNGワードとしている言葉は15以上ありますが、今回はその中から代表的な言葉「法的に問題ない」「仕方がない」「大したことない」について考えましょう。いずれも事態を軽視する言葉であることが共通します。

記者会見は法廷ではない

まず、「法的に問題ない」について考えてみましょう。なぜNGワードなのかさっぱり分からない、と思った方も多いでしょう。理由は「法的に問題ないのだから自分たちは悪くない」と開き直っているように見えるからです。記者からすると法律を守るのは当たり前。法的責任ではなく「社会的責任をどう考えるのか」が問われているときに「法的に問題ない」と言い切ってしまう姿勢が問題なのです。最近、育休取得後の異動命令は違法ではない、と主張した企業姿勢が話題となりました。

裁判になれば違法かどうかが争われますが、記者会見は法廷ではありません。相手にするのは記者とその背後にいる人々。向き合うのは法律ではなく人々の倫理観。法的観点からではなく、企業姿勢が問われている場面では避けた方がよいでしょう。