2019/05/27
安心、それが最大の敵だ
利根導水事業の主要施設
武蔵水路を改めて説明する。利根川の水を荒川に導くための導水路として埼玉県内に開削された。埼玉県行田市の利根大堰で利根川から取水され、鴻巣市で荒川に注ぐ。全長14.5キロで全体が開水路である。管理者は水資源機構で、今日、東京都水道局の約4割、埼玉県企業局の約8割の給水エリアの水道水を送っている。また、周辺地域の洪水や出水を取り込む役割(内水排除機能)を果たしている。
1967年の武蔵水路の工事完成後、2015年度までに平成の大改築工事(後述)を実施し、これに伴い、一部区間で治水機能を新たに有したことから、2016年に利根川水系に属する一級河川に指定された。
<参考>武蔵水路:位置 埼玉県行田市須加地先~鴻巣市糠田地先
水路形式 コンクリートライニング台形水路
延長 約14.5キロ
最大通水量 毎秒50立方メートル
主な付帯施設 サイホン(6カ所)、樋管、水位調節堰(4カ所)、放流口(4カ所)、水門(2カ所)、排水機場。
利根導水路の他の主な事業を紹介する。
<利根大堰>
利根川を横断する可動堰で、利根川中流部の各用水を合口(ごうぐち)取水し、取水口、樋管、沈砂池(ちんしゃち)を経て、5つの水路に分かれる。武蔵水路、見沼代用水路、埼玉用水路、邑楽(おうら)用水路、行田水路に分かれる。
武蔵水路は、すでに述べたように東京都の水道用水・工業用水・浄化用水と埼玉県の水道用水・工業用水を荒川へ導水する水路。
見沼代用水路は、埼玉県の農業用水・水道用水と東京都の水道用水を導入する水路。
埼玉用水路は、農業用水を羽はにゅうりょう生領用水、葛西用水、稲子用水、古利根用水へ導水する水路。
邑楽用水路は、利根川を横断して左岸へ送水、利根加用水、明和用水、板東用水、北川辺領(きたかわべりょう)用水へ導水する水路。
行田水路は、行田浄水場へ直接導水する水路。
<朝霞浄水場>
荒川から流下した水を浄化し、水道水として都民に給水する施設で、東京都東村山浄水場へ送水する。朝霞浄水場と東村山浄水場の間は、水の状況に合わせて相互に水融通が行われている。
安心、それが最大の敵だの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方