2019/05/27
安心、それが最大の敵だ
武蔵水路、オリンピックへ突貫工事
東京大渇水を救済する切り札・武蔵水路の開削事業は、まず秋ヶ瀬取水堰の建設工事から始まった。同建設工事は昭和38年3月からから始まり、東京都の緊急援助要請を受けて、早期完成を目指す昼夜兼行の突貫工事で進められた。河野大臣の<鶴の一声>で、通水式は昭和39年8月25日と決まり、オリンピックを目標に可能な限り工期を短縮して渇水の非常事態に対応するため、水資源開発公団と施工業者が総力戦の体制を組んだ結果、無事開通にこぎつけた。
武蔵水路の起工式は昭和39年2月だった。東京都の水飢饉の一番激しい時期であり、一刻も早く利根川の水を東京へ導く必要があり、用地買収は約1カ月余りという異例の早さだった。工事は8工区に分けての24時間体制である。底なしの軟弱地盤と闘い、農業用水路や河川、鉄道などが網の目のように交差する地点では、サイホンの原理を応用して河川や従来の施設などをくぐり抜ける難工事が続いた。昭和40年(1965)3月、見沼代用水の用水路を使いながら暫定通水を開始した。だが実際の工事完了は42年(1967)3月1日だった。オリンピック大会には間に合わず、同大会から2年後だった。
利根導水路事業と相まって、利根川上流には矢木沢ダムや下久保ダムなどの大きなダムが計画・建設された。その後、奈良俣ダムなどが加わり、首都圏約3000万人の水を提供する<一大水源池>となった。
安心、それが最大の敵だの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方