第4回:社会関係資本
災害時の適応能力を上げるカギ
国際大学GLOCOM/
主任研究員・准教授、レジリエントシティ研究ラボ代表
櫻井 美穂子
櫻井 美穂子
ノルウェーにあるUniversity of AgderのDepartment of Information Systems准教授を経て2018年より現職。博士(政策・メディア)。ノルウェーにてヨーロッパ7か国が参加するEU Horizon2020「Smart Mature Resilience」に参画。専門分野は経営情報システム学。特に基礎自治体および地域コミュニティにおけるICT利活用について、レジリエンスをキーワードとして、情報システム学の観点から研究を行っている。Hawaii International Conference on System Sciences (2016)およびITU Kaleidoscope academic conference (2013)にて最優秀論文賞受賞。
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前回は、人間資本が失われることの影響について書きました。人間資本がシンボル資本を兼ねている時は、法律や公的な取り決めに沿って復旧手順が進んでいくため、影響が大きくなる、ということでした。
これまで、経済資本、組織資本、人間資本、シンボル資本、とそれぞれ見てきましたので、社会関係資本に焦点をあてたいと思います。といっても、これまでの記事の中で、復旧プロセスにおける社会関係資本の働きについて触れてきています。今回は、福島県双葉町の事例をもとに、改めて社会関係資本について見ていきます。
双葉町には、東京電力福島第一原子力発電所の5号機と6号機があります。同発電所の1号機から4号機は南に隣接する大熊町にあり、双葉町からはおよそ2キロメートルの距離です。
2011年3月11日、双葉町の情報部門職員は、開会中の町議会の告示を外すため庁舎の外に出て、庁内に戻った瞬間に大きな揺れに襲われました。すぐにサーバー室に確認に向かいました。目視による大きな被害は確認されなかったため、システムのシャットダウンは行わず(庁内は停電しませんでした)、後で詳細の確認をするつもりでサーバー室を後にしました。
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