BSAのラグランド氏は電子政府化のメリットと重要性を述べた

ソフトウェアの著作権保護に関する調査研究、啓発活動を進めている、IT企業を中心とした非営利団体のBSAは16日、カンファレンス 「デジタル・ガバメントの未来と世界の潮流~デジタルファースト実装に向けて~」を東京都千代田区の衆議院第一議員会館で開催。平井卓也IT担当大臣も出席し、電子政府の推進に向けた講演が行われた。

冒頭、BSA・アジア太平洋政策担当シニア・ディレクターのジャレッド・ラグランド氏が「電子政府化は市民へのサービス向上につながる」と述べ、米国で2018年末にデジタル化を推進する法律が成立したことを紹介。行政データの電子化やモバイル対応を推進し、コスト削減を進めることを紹介した。

平井担当相は国会に提出を予定しているデジタルファースト法案について説明。「行政の原則をアナログからデジタルに代える。デジタル化は今考えられている以上の変化があり、基盤づくりや人材育成が必要となる。マインドセットを変えることも重要だ」と述べた。またこれまで各省庁が個々で行っていたIT関連予算を内閣官房に一元化する方針を示し、「政府のIT関連支出の約7000億円のうち6割が維持・管理コスト。これを引き下げ、今後に対応できるシステムにしないといけない」と語った。

自民党・IT戦略特別委員会事務局次長を務める小林史明・衆議院議員は、ビデオメッセージで地方自治体も含めた電子化におけるクラウド利用の重要性を述べた。特に「オンプレミスを使い自治体ごとにシステムが違うと災害時支援などでの応援職員派遣で問題もある。標準的なクラウド活用を推進したい」と述べ、クラウドの安全性評価を決め、自治体が調達しやすくなるようにすることが重要だとした。総務省ではクラウドの安全性評価に関する中間とりまとめを3月に行っている。同省の情報流通行政局地方情報化推進室長である松田昇剛氏も自治体のクラウド利用の重要性ほか、「スマート自治体とし、AIやロボティクスも活用し従来の半数の職員での業務を目指したい」と述べた。

自治体からは熊本市総務局行政管理部情報政策課情報ネットワーク班参事の高橋征二氏が、マイクロソフトが協力しクラウドも用いたIT化について説明。IT化は効率化だけでなく、「縦の関係のみでなく横をつないでいくほか、文化をよりよく変えていくことも大事」と説明。コミュニケーションの強化や新たな支え合いのツールとしての活用の重要性を説明した。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介