断熱リノベーションを施した伊藤さん邸(札幌市にて)

断熱リノベーションの実際

あ:親の世代から家を引き継いだけれど、冬寒くて自分では住めない、という人も多いと思います。築30年を超える家がこんなに暖かくなるなら、私もやってみたいです。実際に断熱化するにはどうすればよいのでしょう。DIYでもできますか?

伊:この家の内装はすべてDIYで施工しています。断熱もDIYでするつもりだったんですが、DIYにかかるコストと手間のバランスを見ながら、大掛かりな工事は地元の工務店さんに依頼しています。

例えば外壁に断熱材を貼るには、大量の材料調達・足場組み・解体・施工とすごく手間がかかる。とくに断熱ボードはホームセンターで買うより工務店さんが仕入れるほうが圧倒的に安く、その差額で工事費を賄えてしまうくらいだったので、一式で工務店さんに発注しました。このほか、屋根裏・床の付加断熱、窓・玄関ドアの交換、機械換気システムの設置などを工務店さんに依頼しています。

窓は高性能な3層ガラスの樹脂窓、さらにカーテンより断熱性が高い「ハニカムサーモスクリーン」を設置しています。機械換気システムは、暖かい室温を逃さずに外の新鮮空気を入れ替えられるもので、高断熱住宅には欠かせないものです。

窓にはカーテンより断熱性の高い「サーモスクリーン」を使用

工事を始めてから完了まで約2カ月弱。最終的にかかった費用は、税込みで680万円です。

唯一、DIYでやった断熱工事がキッチンの床です。コンクリートあらわしの床にキャンプ用の銀マットを敷いて、その上にラグを敷くだけ。簡単ですが結構効果があるんです。いまお住まいの自宅でも簡単にでき、「断熱」がどれだけ暮らしを快適にできるかを一番分かりやすく体感できます。

あ:アウトドア用品が活躍してますね。

伊:そうなんです。アウトドア用の道具は、家よりも厳しい環境でハイスペックな居住性を求めるために、素材・機能が厳選されている。だからツールとしても転用しやすいものが多い。またそういう道具を使いこなしているユーザーは、仕組みを理解しているので、住まいへの応用力が素晴らしいですね。