2019/01/09
防災・危機管理ニュース
セキュリティサービスを強みに
ノミナム社を買収したことで得られたもう一つの大きなメリットがセキュリティの向上だ。アカマイはノミナム買収によって「ETP(Enterprise Threat Protector)」という企業向けのセキュリティサービスを強化することができた。
既存のセキュリティ対策は、ともすると静的で事後対応的であるため、マルウェアによる高度な標的型攻撃やゼロデイ攻撃に対応することができず、事前対応型のソリューションが求められていた。
ノミナム社は、世界中のインターネットユーザから発せられる1日2兆超のクエリをほぼリアルタイムに解析している。ここにさらにアカマイが分散型サーバープラットフォームから収集できる1日数兆ものトランザクション情報を統合させることで、新たなマルウェアを検知するスピードが格段に高まっている。また、振る舞いパターンを解析したり、2社合同のSOCチームがリアルタイムで検知する「動的解析」手法を新たにするなど、さらにセキュリティを高めている。
検知されたマルウェア情報は、即座に世界中のノミナム社のDNSサーバーやETPのサーバーにフィードバックされ、ネットワーク全体を常にアップデートされた最新状態のセキュリティ体制を構築できる。
近年増えているIoTデバイスを踏み台にしたサイバー攻撃に対しても、マルウェア感染したIoT機器がネットワーク内部から外部へ情報漏えいするふるまいを検知・防御するのにDNSによるソリューションが効果を発揮する。
多様な企業へサービスの裾野広げる
「当社のセキュリティサービスはすべてクラウドベースの技術であるため、エンドポイント側でインストールやアップデートなど面倒な操作をユーザーに依存することなく、最新のサービスを提供できることが特長」と強調する。
「これまでは、大量のデータ流通を扱う通信業者、放送・メディア、大手通信販売会社、金融、メーカーが主な顧客だったが、今後はセキュリティという強みを生かして業種・規模ともにさらに多様な企業にサービスを提供していきたい」とワトソン氏は意気込む。
(了)
リスク対策.com:峰田 慎二
- keyword
- ITセキュリティ
- アカマイテクノロジーズ
- CDNサービス
- ノミナム
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方